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かぽんの戦争映画
一方的評論
 
「モーターサイクル・ダイアリーズ  評価★★★ 医学生チェ・ゲバラの南米旅行記
Diarios de motocicleta
2003
  イギリス、アメリカ、ドイツ、アルゼンチン、ペルー 監督:ウォルター・サレス
出演者:ガエル・ガルシア・ベルナル、ロドリゴ・デ・ラ・セルナ、ミア・マエストロほか
126分 カラー 

 
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 キューバ革命の革命家エルメスト・ゲバラ・デ・ラ・セルナ(チェ)が、共産主義革命に傾倒する人生基盤を形成した中南米旅行記を描いたドキュメンタリー ドラマ。原作はゲバラ自身の「モーターサイクル南米旅行日記(ダイアリーズ)」と、共に旅行した友人のアルベルト・グラナード著「トラベリング・ウイズ・ ゲバラ」。どちらかというと、本作は後者に近い内容であり、というのも本作制作にあたり、グラナード本人が監修にあたっているのだ。チェ・ゲバラはキュー バ革命後ボリビアで39歳の生涯を閉じるが、友人グラナードはゲバラに請われてキューバのハバナ大学に籍を置き、定年までをキューバで過ごしている。

 本作はいわゆる青春ロードムービーに属するもので、のどかな風景とゆったりとした時間の流れの中で、ゲバラが後に革命武力闘争に身を投じるとは思えない 雰囲気である。医学生で喘息持ちのゲバラは真面目かつ穏やかで思慮深い慈悲を持ち合わせ、どちらかというとやんちゃで無謀なグラナードとは正反対の人物で ある。そんな彼が武力革命にまで至る思想を形成したのがこの南米旅行だったのだ。
 旅行はポデローザ号と名付けた中古のバイク1939年式ノートン500に二人乗りで出発し、アルゼンチンからアンデスを越えてチリに入り、ペルー、ベネ ズエラまで、6ヶ月半にわたった。途中、バイクの破損、病気など幾多の困難を伴いながらも、その場しのぎの旅行が続く。その中で、ゲバラは貧しい農民の姿 を目撃し続け、次第に地主や権力者の圧政への反抗心が芽生える。さらに、彼が専攻していたハンセン病患者の療養所で手伝いをする中で、人への愛に目覚めて いく。

 本作はゲバラという人物像を知っているのと知らないのでは、まるで評価が異なるであろう。ゲバラを知らなければ単に気の良い兄ちゃんというだけであり、 旅の中で何かが変わったとは言え、それが何なのか、どうなっていくのかへの興味が出てこない。特に映画の後半は、オートバイが壊れて旅という流れがやや 滞ってくるので、冗長感は否めない。だが、この冗長なやり取りの中にこそゲバラの緻密な人間観察が隠されているのであり、マルクス・レーニン主義実践への 確信を深めていくのだ。
 ただ、そうは言っても本作だけでチェ・ゲバラの魅力や真実に迫るには物足りなすぎる。それを補うかのように「チェ28歳の革命(2008)」「チェ39歳別れの手紙(2008)」という映画が制作されたのは嬉しい。是 非、三部作として見るといいだろう。

 チェに扮したガエル・ガルシア・ベルナルは優男風のメキシコ人。当時の写真からは、ゲバラはもう少し無骨な感じに見えるのだが。オートバイは実にいい音 をさせている。でも、すぐに壊れてしまうので堪能できるのはほんのわずか。映画では結構良い道ばかり出てくるが、実際は相当な悪路だったと想像できる。換 えの部品も持たずにかなり無謀だな。

 単品としてはそう高い評価の作品とは思えないが、チェ・ゲバラ三部作の序章として見れば重要な作品である。ちなみに、アルベルト・グラナードは本作撮影 のメイキング的位置づけとして「トラベリング・ウイズ・ゲバラ(2004)」を制作している。


     

興奮度★★★
沈痛度★★

爽快度★★★
感涙度★★

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(以下 あらすじ ネタバレ注意 反転でご覧下さい)

 アルゼンチンの医学生エルネスト・ゲバラ(23)は、友人で6歳年上の「放浪化学 者」アルベルト・グラナードと、オートバイによる南米旅行を企画する。うらやましがる父親らの見送りで、1952年1月4日、1939年式ノートン500 「ポデローザ(怪力号)」で二人は出発する。
 愛称フーセル(激しい男)と呼ばれたゲバラは、喘息持ちでありながらも弱音を吐かない強い意志をもった男だった。ブエノスアイレスを出発した二人は、ま ずミラマールのゲバラの恋人チチーナのもとを訪ねる。裕福なチチーナの家ではゲバラらは歓迎されないが、チチーナと愛をかわしたゲバラは6日間もそこに逗 留する。
 バイクでの旅行は思いの外厳しく、転倒を繰り返しながら1月29日、ピエドラ・デル・アギラに着く。強風でテントが飛ばされ、近所の住人に頼んで農園労 働者の小屋に泊まることが出来る。グラナードは機転を利かせて医者だと嘘をつくが、まだ医学生のゲバラはそれをよしとしない。また、チチーナから預かった 水着購入資金をベルナードは使おうとけしかけるが、ゲバラは拒否する。
 1/31。サン・マルティン・デ・ロス・アンデスに着く。物乞いに訪ねた家で主人の腫瘍を見つけるが、医学生で治療は出来ない。仕方なく湖で猟をする が、ゲバラはひどい喘息を患ってしまう。
 2/15 チリのフリアス湖に到着。初めての外国だ。2/18には雪のテムーコに難儀する。グラナードはゲバラに真面目すぎるのも困りものだ。嘘も方便 だと諭し、ゲバラも次第に適当な嘘をつき始める。手始めにチリのアウストラル新聞に有名な医師が来たことを書かせ、その記事を見せて無償でバイクの修理を させる。だが、夜のパーティで修理工の妻に手を出そうとして追いかけられるはめに。結局バイクは治らずに廃車に。
2/26 チリのロス・アンヘレス。姉妹に声を掛けて食事と寝床を確保する。そこで、喘息の老女をみたゲバラは自分の喘息薬を置いていく。ここから二人は 徒歩やヒッチハイクでの移動となる。
3/7 パルパライソ。チチーナから手紙が来る。
3/11 アタカマ砂漠を徒歩でゆき、チュキカマタ銅山に向かうが、途中で共産主義者の夫婦に出会う。弾圧で銅山に職を求めてきたのだった。彼らに人間的親しみを感 じ、銅山で支配者階級の傲慢さを目撃する。
いよいよペルーに入り、原住民が増えてくるなど雰囲気が変わってくる。グラナードは30歳の誕生日を迎え、4/2にはクスコに。知り合ったドン・ネストー ルが案内役を務め、インカ帝国の遺跡を巡る。そこで貧しい農民らに出会い、地主などの厳しい搾取の現状を知る。
4/5 マチュ・ピチュ遺跡。
5/12 リマのペッツェ博士の家に到着。前もって手紙で頼んでおいたハンセン病の権威だ。食事と宿を提供され、去り際に博士の書いた私小説の感想を求め られる。グラナードは賞賛するが、ゲバラは素直に駄目出しする。
5/25 プカルパから船に乗ってサンパブロに向かう。船中でルスという売春婦に出会い、グラナードは金をくれとゲバラに頼むが、実は銅山で出会った夫婦にあげてし まっていた。グラナードは船内の賭で勝ち、ルスを手中におさめる。
6/8 サンパブロ。ここでハンセン病療養所の医者プレシアーニ医師と会う。二人はここで医師の手伝いをすることとなる。対岸の隔離療棟では修道院女たちが働いて いたが、皆手袋を着用する決まりとなっていた。だが、感染しないことを知っている二人は手袋を拒否する。親身に話しを聞き、差別しないゲバラに、患者の リーダーパパ・カルリートをはじめ、修道院女たちも心を開いてくる。
6/14 いよいよお別れの時となり、ゲバラは感謝の言葉として、国は別れているが南米は一つだと語る。そして、パーティのあと、対岸の療養所まで泳いで渡り患者と 別れを惜しむ。
7/26 ベネズエラのカラカス空港。カラカスの研究所への就職が決まったグラナードと別れる。一緒に働かないかというグラナードに、ゲバラは「この旅で 何かが変わった。少なくとも昔の僕ではなくなった」と感じ帰国するのだった。
 二人が再会したのは8年後。キューバ革命を成功させたゲバラにグラナードは招かれ、キューバ医大の設立などに奔走し、ハバナに在住している。


(2009/01/13)