「K−19」 評価★★★ ソビエト原子力潜水艦の惨事
K-19: THE WIDOWMAKER
2003 アメリカ 監督:キャスリン・ビグ
ロー 主演:ハリソン・フォード、リーアム・ニーソン
138分 カラー
(2003/1月 映画館にて視聴)
ついに見に行きました。終了1日前でした。前評判はそこそこ。息をもつかさぬ危機の連続。などと聞かされていたのでどんなことになる
かと期待でした。
さて、この映画の監督は女性で、繊細なタッチになっているかと思いきや、そうでもない。しかも、ほとんど女の姿は出てこず男ばかりの映画です。
ストーリーは1961年の旧ソ連が起こした事実をもとに構成してある。旧ソ連がアメリカに対抗して作ったポラリス搭載原子力潜水艦「K−19」が任務中
に起こした原子炉の冷却水漏れ事故だ。原子力潜水艦を作っておきながら、その事故対策も何もかもが杜撰なソビエト。放射能漏れの怖さを知らされていない乗
組員達は決死の行動に出るが・・・。
とまあ、確かに、息を飲むシーンが多いですが、思ったほどではありませんでした。艦長と、副長のやりとりや艦と部下のどちらを取るのかの決断などがなか
なか見物です。あとは、、ケミカル服で原子炉に入っていくシーンがあまりに悲しいです。ヴァディム中尉は1回目の時、部下が被爆した姿に恐れおののいて入
ることができなかったのは当然でしょう。
全体として、事故前、事故中、事故後のバランスが良く、アメリカ映画にありがちな尻切れトンボ的な終わりではない。事故の事を話すことを禁じられ、ソ連
崩壊後の28年後のシーンまできちんと描いている。そういう意味では限りなくノンフィクション映画であると言え、インパクトには欠けるがしっかりと見るこ
とができる。館内のシーンはかなり細かいセット復元がなされているようだが、艦全体を印象づけることはできていない。前、後ろの感覚はつかめない。狭さは
出ている。
個人的には、もっと事故のシーンの描写が詳しければいいと思った。原子炉描写が単純すぎるし、修理もあんなに簡単なのか?音響効果も今ひとつ。最近の映
画は音で魅せることが多いので映画館ならもう少し音で臨場感を出せたのではないかな。
公式サイト
興奮度★★★
沈痛度★★★★★
爽快度★
感涙度★★
(以下あらすじ ネタバレ注意 反転でご覧下さい)
旧ソ連がアメリカに対抗して作ったポラリス搭載原子力潜水艦「K−19」が任務中
に起こした原子炉の冷却水漏れ事故である。艦長のボストリコフ大佐(ハリソン)は、就航直前に着任した鉄の意志を持つバリバリのやり手。副長は直前まで艦
長で、訓練の失敗を受けて降格されたポレーニン大佐。原子炉担当士官はこれもまた直前に交代させられたヴァディム中尉。
ボストリコフは航海中も厳しい訓練を続け、限度を超えた潜行や急浮上などを繰り返し、副長や政治局員、部下の不審を買う。それでも、SSBN(弾道ミサ
イル)の発射が成功すると次第に部下の信頼を得る。
しかし、この時原子炉では冷却水が漏れ、炉心の温度が上がり始める。1000度を超えるとメルトダウンし、大爆発が発生するおそれがある。危機に、原子
炉班を中心に対応を練るが、対応マニュアルに対策が載っておらず、かつ急浮上訓練の際に長距離通信が壊れ、中央との連絡もつかない。温度は上昇を続け、つ
いに艦載の水をパイプでつないで冷却する方法を実施することに。しかし、艦には放射能防護服は積んでおらずケミカル用しかない。そのことを伏せ、2人一組
の決死の修理班が次々と原子炉内へ入っていく。各人10分を限度に作業を進めるが、ケミカル用ではあたりまえだが激しい被爆をし皮膚はやけどを負い、嘔吐
する。6人の決死の作業でなんとか修理は成功する。しかし、アメリカ駆逐艦に発見されてしまい、なんとか自力での帰国を果たそうとする。
安堵もつかの間、再度冷却水が漏れる。ポレーニン副長や政治局員はアメリカ軍に救助を要請すべきと意見するが、艦長は聞き入れず、潜行を命じる。しか
も、混乱した兵により火災が発生。副長が火災を止めに行っている間に、政治局員は艦長を解任し指揮権を副長に渡そうとする。しかし、ポレーニン副長は逆に
艦長を解放する。艦長の無謀さには批判的だが、軍人としてあるべき姿は共通ということか。
原子炉の事故はヴァディム中尉が単身で修理し直すが、艦内はすでに放射能で汚染がひどくなっている。。。。。
最終的にヴァディム中尉を含め7人が数日で死亡。20人余りが後日死亡する。
(2003/02/03)
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原作本
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著者:ピーター・ハクソーゼン / 三宅真理
出版社:文藝春秋
本体価格:1,714円
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