オンラインDVDレンタル ぽすれん

 
オンラインDVDレンタルなら『TSUTAYA DISCAS』!

かぽんの戦争映画
一方的評論
 
「エネミー・ゾーン 沈黙の作戦  評価★★ スパイ・裏切り容疑をかけられた元イラン兵
DUEL
2004 イラン  監督:アーマド・レザ・ダルヴィシュ
出演者:サイード・ラド、ペズマン・バゼイ、パリヴァシュ・ナザレフ
ほか
132分 カラー 

 
DVD検索「エネミー・ゾーン」を探す(楽天)
 イラン・イラク戦争を背景に、スパイ・裏切り容疑をかけられた元イラン兵の苦悩を描いた、イラン製映画。あえてジャンルを書かなかったのは、本作は本当によく分からない作品だったからだ。私の解釈で言えば、多分サスペンスなのだろうと思うのだが、内容的には友情や愛情を描いたシリアスドラマの臭いもあるし、戦争や世相を批判した社会派正義ドラマとも取れるし、激しい戦闘アクションもある、複雑怪奇な作品だったのだ。要は全てのジャンルを盛り込んだものなのだが、当然見ている側にとっては何に集中すればいいのかわからず、常に振り回されてしまって、結局何も残らない。凝り過ぎなのだ。シナリオや編集技術にも難点があるのだろうが、サスペンスドラマの展開としても、それらが非常に阻害してくる。作品のストリー的出来具合から言えば、★1.5つでもいいくらいなのだが、★2つにしたのは後述する戦争アクション部分がレアだから。

 作品の背景となるイラン・イラク戦争は、1980年から1988年にかけて勃発した戦争で、両国民を巻き込んだ激しい戦争であった。主人公の元イラン兵は、ある事情によりイラク軍の捕虜となり、イラン側からはスパイ容疑と裏切り容疑をかけられ、20年後の帰国とともにその容疑を晴らしていくという、謎解きサスペンスが核になっているものと思われる。その容疑の背景には、イラン軍内部や一般市民の欲に絡んだ思惑があるのだが、イラン国内事情、さらにイランに残る?部族的慣習が、本作の理解を妨げる要因にもなっている。イランの情勢についての知識が乏しいために、何故そのような行動、言動を行うのかが、なかなか理解できないのである。特に、部族的慣習については、族長のような存在と軍、行政官が混じり合い、前近代的な社会構造がなかなか難解である。彼らの正義、勇気、友情、愛情ともに、我々日本人の感覚とはかなり異なっているような気がする。従って、シリアス部分や社会正義部分については、なかなか映画中に心情移入しずらかった。
 また、本作では登場人物がかなり多い。主役以外、顔つきや名前を覚えることができるほどの性格付けがなされていないうえ、イベント発生の契機付けが浅いので、ストーリーの流れが実に理解しづらい。サスペンスにとって、かなり重要なポイントと思われるシーンが何度見ても理解できないこともあり、致命的と感じた。
 そのほか、主人公ザイナールは、ホンアーを死なせてしまった罪悪感を持っていると出てくるのだが、ホンアーって誰?劇中には結局登場しなかったような・・・。もしかもすると、DVDではかなりカットされているのかも知れない。こういった意味不明の会話シーンも所々見られる。

 本作で唯一評価出来た点は、アクション部分だ。映画の約半分近くを戦闘シーンに費やしており、火薬使用量や登場兵器類はかなり多い。列車爆破シーンは実際に大がかりな爆発をさせていたり、戦闘機銃撃シーンや砲弾着弾シーンの砂煙などは、かなりの技術を有しており、アメリカ映画に比しても遜色はない。
 私が特に評価点を上げた理由は、登場する兵器類の多さである。特筆すべきはイラン空軍のF-14トムキャットが2機実際に飛行していることである。実際の稼働機数が少ないとされるイラン空軍の協力で、飛行しているイラン空軍トムキャットを見ることが出来るのだ。また、陸上兵器では多彩な戦車、装甲車が登場している。幾分の近代改装や増加装甲を施しているようではあるが、アメリカ製M−60パットン戦車、イギリス製チーフテン主力戦車、ソヴィエト製T−55戦車、ソヴィエト製BMP−1歩兵戦闘車、BMP−2歩兵戦闘車が20台近く登場するのだ。もちろん全て稼働しており、撮影年が2003年頃として、イラン地上軍の実情を垣間見る上で貴重なものと言えよう。 

 映像はやや画素がやや粗い感じがする。カメラワークは、着弾と共に揺れてみたりと悪くない。ただ、抽象的シーンの挿入がやや唐突だったりと、映像バランスとしては違和感があった。

 原題のDUELは、決闘、勝負といった意味で、正義を貫いて悪と戦うという趣旨で理解できるが、邦題はちょっと・・・・。
 かなり、生と死とか(イラン的)正義という会話が多いので、邦訳も難しかったのだろうが、一度の視聴ではなかなか理解しがたいだろう。私はあまり感じることは出来なかったが、イランの社会的正義とか人道というものが描かれているのならば、何度も視聴しないとわからないかもしれない。ただ、サスペンスものとしては何度も見たいと思わないが・・・・。 

   

興奮度★★
沈痛度★★★

爽快度★★
感涙度★

映画見るなら ⇒スカパー!初期費用無料
オンラインDVDレンタルなら『TSUTAYA DISCAS』!
古本市場】激安古本・CD・DVD・ゲームソフト販売買取
新刊書籍・雑誌・DVDジェイブック
新品DVD・家電
い〜でじ!! 


(以下 あらすじ ネタバレ注意 反転でご覧下さい)


 1961年コーラムシャー州ハイエン市生まれのザイナール・ハビダビは、「開戦後まもなくコーラムシャーにて敵に捕らわれ、そして20年間投獄された後、最後の囚人交換期に名誉軍人とともに解放された。ハイエン市民の証言によると、本戦争の初期に容疑者は敵軍のスパイとして活動し、我が国の公有財産を盗み、敵軍に入隊した。彼の犯した罪により多くの軍人と一般人の命が奪われた。」という罪状により裁判を受け、20年の捕虜生活及び11ヶ月の監禁を考慮されて、釈放される。

 1980年のイラン・イラク戦争の勃発により、コーラムシャー州ハイエン市の駅はイラク軍の攻撃対象となった。ザイナールは防衛軍の一員として防衛戦を構築して戦っていた。駅には一般市民が避難のためにごったがえし、友人のヤーヤが連絡係として働いていた。避難民の中には、ヤーヤの妻サリメー、ザイナールの兄ナクホダ、父母らがいたが、その駅もイラク軍戦闘機によって空爆を受ける。サリメーらは安全なアホワーズに逃げようとし、ヤーヤは駅に残って戦う決意を決める。ザイナールはサリメーにヤーヤを守ると伝える。
 エスカンダールが知事を連れて駅になってくる。敵に破壊された列車の中に国家機密書類の入った金庫があり、それを奪取しろとの命令が下る。ザイナールは、ジャーナラが徹底防衛を命令していること、エスカンダールがペテン師だとして、命令を拒否する。しかし、ヤーヤは作戦に参加しようとし、サリーメーとの約束があったため、自分が代わりに行くことにする。
 バラボン、マンスール、モラッドらの部下に、駅員のサフダレを加えて敵陣に潜入する。ようやく金庫を発見するも、サフダレは恐怖で怯え続ける。金庫は重さが4トンもあり、人手で運べるものではなかった。そこで、マンスールはイラク軍の装甲車を奪い取り、金庫を鎖でつないで引っ張っていく。しかし、エスカンダールの部下?は後方でイラク軍と戦っている仲間を見捨てて装甲車を発進させ、マンスール、サフダレ、ザイナールを除く全員が戦死する。
 敵陣を突破し自陣に戻ってくるが、エスカンダールの部下?は金庫をトラックに移し替え、サフダレを射殺して逃走しようとする。マンスールも流れ弾に当たって戦死し、ザイナールは金庫を積んだトラックを奪い、無線でアホワーズに運ぶことを連絡する。
 エスカンダールと知事はすぐさまザイナールを追いかけて、金庫を渡せと迫る。ザイナールは拒否し、ジャーナラの元に向かうが、ジャーナラは居らず、代理人がいた。代理人は知事の思い通りにはさせないと言い、ザイナールを逃がす。
 ザイナールはジャーナラのもとに金庫を届けるため、船に移し替えて移動する。その際、追跡してきたヤーヤと合流する。船は途中でイラク軍に発見され、撃沈される。その際、ヤーヤは金庫の鎖にからまって水中に没し、ザイナールはイラク軍の捕虜となる。

 20年ぶりにハイエン市に戻ったザイナールは、市民から白い目で見られた。基地指令?になっているエスカンダールはザイナールを迎え入れ、長老のラティーフとともに、ザイナールを許してやると公言する。その晩、ラディーフの息子が撃たれる。撃ったのはサリメーの息子イスマイールで、ザイナールを撃とうとして誤射したのだった。サリメーは夫ヤーヤを殺したのはザイナールだとして、強烈な憎悪を抱いていた。ザイナールは和解のため、サリメーを訪れるが、逆に瀕死の重傷を負わされてしまう。
 ザイナールは真実を明かすためには水没した金庫を探すしかないと考え、甥の軍人カセムと一緒に軍の協力を仰ぐ。軍の司令官は何とジャーナラの代理人だった男だった。最初は、司令官は遺骨収集で善を探しているのだとして、金庫探しの協力を拒む。しかし、ザイナールの説得に応じて、ダイバー等の協力をする。そして、ついに金庫とヤーヤの遺骨が引き上げられ、ヤーヤ殺害の容疑が晴れる。
 エスカンダールはザイナールの動向を観察し、苦々しく思っている。サリメーを妻にしようとも目論んでいた。イスマイールはザイナールの姪フィルザと恋人同士だったが、難しい立場に置かれていた。それを利用して、エスカンダールとラティーフはザイナールを殺すようけしかける。しかし、勇気のないイスマイールはザイナールを殺すことはできなかった。 
 金庫をアホリーズに運ぼうとするザイナールをカセム、サリメー、イスマイール、フィルザが手助けする。しかし、エスカンダール、ラティーフら市民に包囲されてしまう。ザイナールは仕方なく地雷原の中を突っ切ろうとする。追ってきたエスカンダールらと銃撃戦になり、エスカンダールは全てを暴露する。金庫の中には何もなく、金庫自体が4トンの金塊だったのだ。それらは密輸で得た隠し金だったのだ。
 不意をついて、カセムが撃たれてしまう。さらに、ザイナールはエスカンダールに刺され、エスカンダールは金庫を積んだトラックで逃走を図る。しかし、地雷を踏んで大爆発する。
 ザイナール、サリメーらは馬車に乗って走る。


(2008/03/14)