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かぽんの戦争映画
一方的評論
 
「ヒトラーの追跡  評価★★ ナチスドイツによるジプシーの差別
IN EINEM ANDEREN LEBEN
2005
  ドイツ 監督:マニュエル・シュベンマン
出演者: サブリナ・ホワイト、マックス・ヴォン・サン、ハンス・マイケル・レバーグほか
104分 カラー 

 
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 第二次世界大戦時のドイツにおけるロマ(少数民族)差別を描いたシリアス系ヒューマンドラマ。ドイツのテレビムービーで、全体にややチープ感が強いものの、なかなかレアな題材を扱っているのは興味深い。それにしても、かなりのマイナー作品のようだが、よくもまあこんな作品を日本でDVD化したものだと感心する。

 主人公の女性はロマと呼ばれる北インド系の移動民族の出身で、ドイツ国内及び占領地にもそういった少数民族が存在していたようだ。本作中ではジプシーという蔑称でも呼ばれているが、ナチスドイツはユダヤ人と同様にロマを劣等民族と認定し、ロマ以外との婚姻禁止、商売禁止、移動禁止などの制限を設け、大戦期には強制収容所送りにしたと言われる。本作ではアウシュヴィッツのジプシー収容所という名称が出てくる。

 内容は、ポーランドのジプシー収容所から逃げた女性リナが、ドイツ兵ヴィルヘルムに助けられ恋仲になるのだが、ロマである彼女には人種差別という大きな障壁が待っている、というものだ。ユダヤ人の陰に隠れ、余り表舞台に登場しないが、こうした少数民族への迫害、偏見が少なからずあったことを物語っている。ただ、ストーリーからは余りその背景や、悲壮感というものは伝わってこないが。
 また、リナを助けるあまり逃亡兵の汚名を着せられるヴィルヘルム一家の姿も痛々しい。ドイツの家柄や血統を重視する高慢さが良く表現されており、こうした気位の高さが第二次大戦の悲劇を招いたのだとも言えよう。そう言う意味ではかなりシビアな題材を意欲的に取り上げた作品なのだとは思う。

 ただ、映像はハンディビデオを多用したようなチープさが気になる。特に爆撃を受けるシーンあたりはかなりしょぼい。もう少しなんとかならなかったのか。
 編集そのものはさほど悪くなく、ストーリーもそれなりに起承転結があって、コンパクトにまとめられてはいるが、テレビ版ということで短尺だったのも起因したのだろう、ちょっと深みが足りない印象だった。各エピソードが急ぎすぎで、登場人物への心情移入が難しいうえ、設定等が軽々しく扱われている感じがするのだ。もう少しロタの歴史的背景や差別の状況を描いてくれれば、心に沁みたかもしれない。
 メインとなる舞台はポーランドのドイツ軍野戦病院で、恋仲になるヴィルヘルムは足を負傷した士官候補軍曹。そのほか、悪役の主計中尉、SS大尉などが登場する。

 全般に、内容としては重い題材なのだが、思ったよりも心に響いてこない作品だった。日頃耳にする機会のない題材だけに、見て損はないと思うが、歴史の真相を知るにはいささか消化不良の感が強い。

興奮度★★
沈痛度★★★

爽快度★
感涙度★★

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(以下 あらすじ ネタバレ注意 反転でご覧下さい)

 一人の女性リナが列車から逃げ出し、途中の農家や死体から衣類を奪いながら徒歩で移動を続ける。途中でドイツ兵の乗る車に拾われ、リナはポーランドの野戦病院に連れて行かれる。バイエルン出身だと言うリナは主計中尉によってクリスマスまで看護婦として働くことを許可される。
 足を負傷した士官候補生軍曹ヴィルヘルムは、髪の短いリナに恋心を抱く。だが、実はジプシー出身でジプシー収容所から脱走してきたリナはなかなか心を開くことが出来ない。ヴィルヘルムは、バイオリン職人の父を持つリナに、バイオリンとピアノの合奏を申し出る。二人の仲をやっかむ兵もいたが、二人は映画を見に出かけるまでに進展する。だが、映画館で検閲がはじまり、リナは慌てて逃げ出す。いなくなったリナを探して部屋に来たヴィルヘルムはリナの出自を悟るが、二人はついに結ばれるのだった。
 クリスマスが近づき、主計中尉はリナの滞在延長を持ち出すが、実はリナの体を狙っていた。リナは主計中尉の部屋で襲われそうになり、逃げる際に誤って死なせてしまう。動転するリナに、同部屋の友人マーリスとヴィルヘルムは死体を処理し、リナの逃亡を手助けする。
 ヴィルヘルムは逃亡兵になることを覚悟して、リナを車で駅に送ろうとする。途中でSS大尉に遭遇し、なんとか乗り切るが、空爆でヴィルヘルムが負傷。二人は近くの空き家で身を隠すことに。しばらくはリナの献身的な行動で過ごすが、傷は悪化し、ヴィルヘルムの家に帰ろうと移動を始める。だが、オーデル川間近でヴィルヘルムはドイツ軍の銃弾に倒れてしまう。

 ヴィルヘルム(ラントグラーフ家)の家では父母が逃亡兵の親として冷たい仕打ちを受けており、息子の帰還を心待ちにしていた。戦争が終わり、1946年になると、ジプシーの村に子供を連れたリナが戻ってくる。リナはどうしてもヴィルヘルムの両親に子供を会わせたいと思い、ヴィルヘルムの母レギーナを訪ねる。まだ息子が死んだことを知らない母は、ジプシーの悪口をいいながら応対するが、リナはいたたまれなくなって去る。それを追って父親がリナを訪ね、リナの子供の父親がヴィルヘルムだと知るが、父親はショックのあまり無言で立ち去る。母親は金目当ての虚言ではないかと勘ぐる。
 リナは、これ以上ヴィルヘルムの両親と会わないほうがいいと考え、ニュルンベルグの親類を頼って去っていく。リナが去った後、父親が再度訪ねるが、リナはいない。ジプシーの女からヴィルヘルムが死んだこと、二人が愛し合っていたことを聞き、真実を悟る。家に戻ったヴィルヘルムの父に母らはどうだったか聞くが、父は「今は何も話したくない」と言うのだった。


(2009/2/24)