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戦争映画の一方的評論
 
ジャーヘッド 評価★★★☆ 海兵隊員の体験した一つの湾岸戦争
JARHEAD
2005
アメリカ 監督:サム・メンデス
出演:ジェイク・ギレンホール、ピーター・サースガード、ルーカス・ブラックほか
123分 カラー


 1990年に起こった湾岸戦争に参加したアメリカ海兵隊員A・スオフォードの体験をつづったベストセラー 小説の映画化。ジャーヘッドとは海兵隊独特の刈り上げた帽子のような頭を呼ぶ愛称(蔑称)であり、このタイトルどおり、本作は戦争映画と言うよりは、湾岸 戦争での海兵隊の厳しくも愚かしい日常を描く、コメディタッチのヒューマンドラマ。特に前半はかなり笑える場面が多く、後半にいくに連れてシリアスになっ ていく。
 湾岸戦争は近代戦と呼ぶにふさわしく、実際の戦闘は実質2ヶ月間で、地上戦ともなると約100時間程度で終了している。それだけ、地上部隊の行動パター ンは第二次大戦やベトナム戦争に比べると大きく変容しており、湾岸戦争ではほんの僅かな戦闘に比して、何ヶ月にも渡る待機行動の時間が遙かに長かったの だ。本作では、その「退屈」な待機時に何が起こったか、海兵隊員が何を思ったかが、主人公の目を通してリアルに描かれている。軍隊という非日常の中の日常 である。
 本作は主人公の新兵訓練時から始まっており、「フルメタル・ジャケット」でも見所であった教官の口汚い罵声も登場し、卑猥な会話やコミカルな音楽等で随 所に笑える箇所がある。序盤はテンポ良く楽しめる。ただし、ただコメディばかりではなく新兵訓練での死亡や湾岸戦争への戦意昂揚など、シリアスに考えさせ られる場面もあって、後半への伏線となっている。
 主人公が偵察狙撃隊(STA)に所属し、湾岸戦争に派遣されると一転して待機状態の退屈との戦いになる。さらに、遠く本国を離れて妻や恋人との関係が悩 みの種となってくる。そこには最前線の兵という緊張感はなく、一人の人間としての問題がクローズアップされるのだ。このあたりのシーンは「退屈」なだけ あって、映像的にも盛り上がりに欠ける。必要なシーンだったのかもしれないが、見ている方にもやや退屈であった。
 では、戦闘シーンがないのか、というとそうでもない。地上の嵐作戦が開始されるとA-10サンダーボルトII攻撃機が登場し、誤爆シーンもあるし、破壊 されたイラクの車両群と一般人の死体が戦争のリアル感を醸し出す。さらに、火が付けられた油田地帯の偵察シーンは上空を黒く覆う油煙で薄暗く、降りかかる 油の黒い雨が恐怖感を与える見事な映像。ドンパチばかりが戦争ではないことを感じさせる。
 このように前半のコメディタッチから一転して、一気にシリアス感が増してくるのは、実際の兵士も同じような感覚だったのではないだろうか。現実感のない 人ごとの戦争が、急にリアルになってくるのは近代戦の特性なのだろう。戦争映画は得てして最前線のドンパチシーンが主役になるが、第二次大戦の時でさえ、 実際に銃を撃つのは軍務に付いている兵のうちのほんの一部なのだ。それが近代戦ともなればなおさらであろう。戦争に従事しているのに、戦争している気がし ないという主人公の感覚はそこにあり、急に戦闘に放り込まれた際に失禁するのも実にリアルだ。そういう意味で、本作の主人公は偵察狙撃隊という前線勤務の 兵であったが、補給隊や輜重隊のような後方勤務の兵の様子も知りたいと感じた。湾岸戦争57万人余りの兵士のほとんどが前線の戦闘には無縁だったはずだか らだ。
 また、本国帰還時に熱狂的に出迎えた元海兵隊員(多分ベトナム戦)と、本人達はいたって冷めている姿の対比が象徴的だ。戦争の感じ方は時代によって違う ということで、湾岸戦争のそれはベトナム戦争とはもはや違うものなのだということであろう。
 登場する兵器は先にもあげたA-10攻撃機。ただし、これはCGぽい感じがした。このほか、M1エイブラムス戦車がちょびっと登場。
 ドンパチシーンは少ないけれど、戦場の兵士の心理というものを垣間見るうえでは、こういう戦争映画もありだろう。ただ、我々日本人には軍隊経験がないこ とや、銃後を守るアメリカ女性の貞操観念がなさすぎるあたり(笑)から、やや感情移入しずらいかもしれないが。とはいえ、戦場の一兵士の視点というものを 捉えたものとして秀逸な部類に入るであろう。 

興奮度★★★
沈痛度★
★★
爽快度★★★★

感涙度★

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(以下 あらすじ ネタバレ注意)
 1989年カリフォルニア州ベンドルトン基地。父も海兵隊員であったスオフォードは海兵隊に入隊する。班長のサイクス三等曹長 (staff sergent)の厳しい訓練とシゴキに耐え、スオフォードは60名の中から8名の偵察狙撃隊員(STA)に選ばれる。相棒はトロイ伍長となる。訓練中に 命を落とす者もでるが、日増しに鍛えられていく。
 そんな中、1990年8月2日にイラクのサダム・フセインがクウェートに侵攻する。アメリカ軍は即座に「砂漠の盾」作戦として隣国のサウジアラビアに軍 を派遣し、スオフォード上等兵もまた派遣されるのだった。
 しかし、国連のイラク軍撤退決議リミットまでは武力行使も出来ず、砂漠で数ヶ月間の待機状態を余儀なくされる。訓練、水分補給の繰り返しに飽き、やる事 と言えばマスターベーションすることだけ。さらに、長期に渡る不在で本国の妻や恋人の不倫や浮気が続出する。デットマンの妻から送られてきた「ディア・ハ ンター」のビデオは妻の不倫映像だった。スオフォードも恋人を残してきていたが、案の定、彼女に男友達が出来る。いらつくスオフォードだがどうしようもな い。
 クリスマスを迎え、スオフォードは酒を調達して大騒ぎする。しかし、当直をかわってもらったマザコンのファーガスが失火してしまい、スオフォードは糞尿 処理の懲罰のうえ兵卒に降格されてしまう。苛立ったスオフォードは思わずファーガスに銃を向けてしまう。
 年が明け、砂漠の嵐作戦が開始される。しかし、この戦争は敵の見えない戦争であり、挙げ句の果て友軍のA-10攻撃機に誤爆される羽目に。このころから トロイ伍長の言動がおかしくなる。実は、トロイは犯罪歴を隠して入隊しており、帰国後の再入隊が認められないというのだ。
 サイクス三等曹長に率いられて小隊は偵察に出かける。そこで見たものは黒こげになったイラク避難民の車列と死体。さらに、イラク軍が撤退時に火を付けた 油田の油煙が降り注ぎ、油まみれになる。
 スオフォードとトロイ伍長は大隊長カジンスキー中佐からの要請で空港に立て籠もるイラク軍将校の狙撃に向かう。いよいよ実戦といきり立つ二人は空港に向 かい、狙撃目標を確かめる。狙撃許可が出て射撃の瞬間、別の部隊がやってきて狙撃を中止させる。怒り狂うトロイをスオフォードはなだめるのだった。肩を落 として帰隊した二人は停戦合意の知らせを聞く。結局、1発の銃弾も撃たなかった。
 帰国の凱旋パレードで元海兵隊員が感激の余りに乗車してくる。しかし、スオフォードらには実戦の感覚も感動もなく、彼とのギャップを感じるのだった。
 スオフォードの彼女は他の男に走り、再会したファーガスもすっかり髪型も変わった。そしてトロイは死亡した。 

(2006/02/27)

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