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かぽんの戦争映画
一方的評論
 
「ルワンダの涙 評価★★★ ルワンダ難民にあふれる学校
SHOOTING DOGS
2005  イギリス・ドイツ 監督:マイケル・ケイトン=ジョーンズ
出演者:ジョン・ハート、ヒュー・ダンシー、ドミニク・ホルヴィッツほか
115分 カラー 

  
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 1994年に起こったルワンダでの大量虐殺を題材にしたシリアス映画。前年に「ホテル・ルワンダ(2004)」という同題材を扱った映画が評価を得ているが、本作もかなり類似した作品であ る。場所と視点をちょっとだけ違えた姉妹作と言っても良いだろう。ホテル・ルワンダではベルギー系ホテルでルワンダ人が主人公。本作はキガリ公立技術学校 でイギリス人教師が主人公。どちらも、フツ族とツチ族というルワンダ人同士の虐殺の理不尽さ、ベルギー、フランスを主体とした国連軍の無関心さをクローズ アップする点で共通点がある。最大の違いは最後の結末であろう。
 ちなみに、本作の制作者はBBCで実際に取材にあたったデヴィッド・ベルトンによるもので、自責の念から製作を思い立ったのだそうで、スタッフには実際 に虐殺で肉親を多く失ったルワンダ人も多く関わっている。そういう意味では、ホテル・ルワンダよりもより一層核心に迫ったものであり、リアリティがあるの かもしれない。

 本作では、イギリス人教師や牧師のいる公立技術学校にツチ族を主とする難民が避難してくるのだが、そこを拠点とする国連軍のベルギー軍部隊は結局撤退し てしまう。難民に押し寄せる殺害の恐怖、白人の何も出来ないもどかしさと愚かさがリアルに伝わってくる。
 ただ、ホテル・ルワンダに比べ、全体のスケール感やストーリーの展開やテンポという点では若干劣る感がある。実話ベースに縛られてしまったのか、登場人 物や展開に膨らみがあまりない。突っ込んでの描写をためらったかのような箇所も見られ、若干傍観者的なイメージも感じる。この辺りは逆に完全フィクション 仕立ての方が作りやすいのかも知れない。ホテル・ルワンダのほうは緊迫感という点で優れていた。

 本作で興味深かったのは、こうした題材の場合、どうしてもフツ族によるツチ族虐殺という視点になりがちだが、本作ではフツ族の心情も描いている。「ツチ 族は昔のようにフツ族を奴隷にしようとしている」。宗主国ベルギーやフランスの介入により、ツチ族とフツ族の争いが激化した背景があり、どちらが一方的に 悪いというものではないのだ。
 さらに、身内だったフツ族の青年が見る間に虐殺者に変貌を遂げていくシーンは、人間の凶暴本能を垣間見たような気がする。ギラギラとして血染めのナタを 片手に徘徊する殺戮者の姿は恐ろしい。だが、彼らもまたほんの数日前まで善良な市民だったかもしれない。戦時の狂気と似たものがあり、暴走を止めるにはど うしたら良いのか。図らずも本作では宗教ではないことを暴露している。いずれにしても、白人の偽善者的態度と身勝手さは何の役にもたたない。

 全体的に悪くはないが、バランスやまとまりにもうちょっと工夫があると良かった。映画の起承転結にもやや問題があったのか、心に響くインパクトがやや弱 かった。

興奮度★★★
沈痛度★★★★

爽快度★
感涙度★★

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(以下 あらすじ ネタバレ注意 反転でご覧下さい)

 1994年ルワンダ。首都キガリの公立技術学校に国連平和監視団のベルギー小隊が駐留していた。 学校には教師の英国人ジョー、牧師のクリストファーらがいた。ジョーは整備士のフツ族ルワンダ人フランソワと一緒に出かけ、出先でBBCのレイチェルに出 会う。レイチェルは各地でフツ族によるツチ族虐殺が行われていると言う。
 4/6。フツ族のシボマナ議員がやってくる。学校ではツチ族の女の子マリーがニェンジ(ゴキブリ)と蔑まれている。その晩、大統領の乗った飛行機が墜落 し、フツ族はツチ族の行為としてツチ族虐殺が横行し始める。ツチ族らは学校に避難をはじめ、ベルギー軍のデロン大尉も渋々彼らを中に受け入れる。
 4/7。白人達も学校に避難してくる。ジョーはマリーが心配になり家に行くがいない。戻ってみるとすでに学校に避難していた。市民らは国連の介入を要請 するが、国連は監視団であった維持軍ではないとして出動を拒否する。街にはフツ族民兵が横行し始め、ツチ族の死体が至る所に見受けられるようになる。ま た、首相の警護にあたっていたベルギー兵10名が拉致され処刑される事件が起こる。国連は撤退を検討し始める。
 ジョーは現状を打破するため、BBCのレイチェルに頼み込んで学校の取材をしてもらう。学校に行く途中で民兵の検問に会い、民兵の中にいたフランソワの 口利きで抜けることが出来る。しかし、フランソワは血の付いたナタをもっていた。
 ベルギー軍のデロン大尉は、クリストファー牧師の何故戦わないのかという詰問に、自身の祖父がかつてユダヤ人を匿ったことを誇りとしているが、軍人とし て出来ることはほかにないと苦しい心情を打ち明ける。
 外では他の神父が殺され、修道院が心配になったクリストファーは赤ん坊の薬を買いがてら修道院に向かう。薬屋ではフツ族の子かツチ族の子かと聞かれ、フ ツ族と思わず嘘を付く。修道院では修道女らがレイプされ死んでいた。クリストファー牧師は怒りとともに絶望感を感じる。学校に戻ったクリストファーは、死 体を食う犬を射殺したいというデロン大尉の申し出に、「犬が攻撃してきたか。自衛でしか発砲しないのだろう」と攻め寄る。
 フランス軍のトラックがやってくる。しかし、フランス軍は白人のみしか乗せていかない。あきらめかけたツチ族の一部が学校の敷地外に出てしまう。あっと いう間に民兵が取り囲みナタで惨殺していく。生まれたばかりの赤ん坊を抱いたエッダもまた殺される。
 いよいよベルギー軍の撤退が決まる。ジョーもクリストファーも一緒に撤退することにするが、マリーの一緒に居て欲しいとの言葉にクリストファー牧師は残 ることを決意する。ジョーを乗せたベルギー軍部隊が撤収していく。マリーはジョーに「何故行ってしまうの」と問いかけるが、ジョーは「すまない」と言って 去っていく。
 学校内の2500人のルワンダ人が民兵に虐殺されるのは時間の問題だった。クリストファーはトラックの荷台にマリーら子供を乗せて脱出する。民兵の検問 で止められ、クリストファーは銃殺されるが、その間に荷台の子供たちは逃げることに成功する。
 5年後。イギリスの学校にいたジョーのもとに、マリーがやってくる。「何故見捨てたの」という質問にジョーは「死ぬのが怖かった」と答える。学校では 2500人のツチ族が殺されていた。

(2008/08/29)