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かぽんの戦争映画
一方的評論
 
「スター・オブ・ソルジャー 評価★★☆ 徴兵されアフガニスタン侵攻 に赴いたソヴィエト兵
L'Étoile du soldat
2006  フランス・ドイツ・アフガニスタン 監督:クリストフ・ド・ポンフリー
出演者:サシャ・ブルド、パトリック・ショーベル、モハマド・アミンほか
100分 カラー 

 
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 ソヴィエトのアフガニスタン侵攻(1979〜1989年)を題材に、徴兵され厭戦的なソヴィエト兵がアフガニスタンゲリラ(ムジャヒディン)に捕えら れ、解放される様子をフランス人カメラマンの目を通して描かれたミリタリードラマ。この戦争でアフガニスタン人は150万人、ソヴィエト兵は13,000 名が戦死したとされる。
 監督のポンフリーは製作の2006年に死去しているが、1980年代からアフガニスタンを取材し、これまでに何作もマスード司令官のドキュメンタリー映 画を製作するなど、アフガニスタン特にマスード司令官に造詣が深い人物だったらしい。
 アフマド・シャー・マスードはソヴィエト軍に対してパンジシール渓谷でゲリラ抵抗した司令官で、後にタリバンと対立する北部同盟の軍司令官となった人物 である。2001年9月11日のアメリカ多発テロ事件の2日前に自爆テロで死亡した。人望の厚い人物だったらしく「パンジシールの獅子」とも呼ばれた。本 作では中心的な登場人物ではないが、本作は多分にマスードを意識した作りとなっていることは間違いない。本作に出てくるナジムディーン司令官はマスード自 身ではないかとも思える。捕虜を丁重に保護するエピソードは、マスード司令官が捕虜を自発的に解放したことと重なってくる。

 ストーリー自体はさほど複雑ではないが、主役級のソヴィエト兵とフランス人カメラマン以外に多数の兵士が登場するほか、ソヴィエト軍内部の厭戦ムードや ムジャヒディンの行動など著しくシーンが変わったりするため、かなりブツ切れ感が強く、ストーリーに入れ込むことは難しい。さらに、抒情詩的で攻撃的なナ レーションがやたら多く、ドラマにしてはかなり鬱陶しい。政治的、宗教的なニュアンスも強いので、最初は何を目的に制作したのかいささか戸惑うところすら あった。次第に、どうもアフガニスタン側視点で反ソヴィエトであることがわかってくるが、後半になるとより一層その傾向が強くなり、さらにはアメリカ CIA批判となっていく。
 この攻撃的なナレーションだが、もし本作がノンフィクションで実話を元にしているとすれば、そのナレーションの持つ意味は重い。ソヴィエト兵、アフガニ スタンゲリラの心情や実情を知る上で、ナレーションの複雑で抒情詩的で、攻撃的な内容が実に興味深くなってくるのだ。本作では9.11アメリカ同時テロに も言及しているが、ソヴィエトに侵略され、冷戦の影響でアメリカの代理としてCIAに翻弄され、後にはタリバンなどのイスラム過激派と対立するアフガニス タン北部同盟の置かれた苦難の道のりを顕しているのだろう。こうしたアフガニスタン視点での映画は少ないし、ましてやマスード側の戦争映画ともなれば実に レアだ。
 だが、残念ながら本作は捕えられたソヴィエト兵が解放されたという実話を元にはしているらしいが、ストーリーや人物設定は架空のようだ。そうなると、フ ランス人カメラマンのヴェルゴスはポンフリー監督自身のようでもあり、マスード司令官賛美、ソヴィエト、アメリカ批判の内容は、監督の思いが強すぎて、い ささか偏ったものではないかという疑念が出てくる。アフガニスタンを愛した監督のアフガニスタンへの愛と情熱、そして強大な二大国家批判に心血を注いだ監 督の遺作として、若干フィルターを掛けて見るべき作品ともいえる。
 
 撮影はアフガニスタンで行われたようで、戦車やヘリなどの兵器類はアフガニスタン陸軍による協力のようだ。T−54/55戦車やBMP−2歩兵戦闘車、 ミルMi-8ヒップヘリなどの姿が登場している。T−54/55戦車では前面砲塔に増加装甲を施したものもみられる。

 ポンフリー監督が作品を通して訴えたかっただろうアフガニスタンの大義と平和というものはひしひしと伝わっては来るが、やや政治色や宗教色が強すぎる感 がある。ご娯楽作品としてはドラマ性に問題があるし、ドキュメンタリーとしては信用性に乏しい。中途半端な作品なってしまったのは残念だが、マスード一派 視点というレア性を考えれば貴重な作品ではあるだろう。

http://der-stern-des-soldaten.de/index.html

興奮度★★★
沈痛度★★★

爽快度★★
感涙度★

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(以下 あらすじ ネタバレ注意 反転でご覧下さい)

 2001年9月11日、アフガニスタンのヒンドゥーク シュ山脈にフランス人カメラマンのヴェルゴスがいた。ヴェルゴスは20年前の1979年12月のソヴィエト侵攻時にもアフガニスタンにおり、ソヴィエト軍 の蛮行を映像に収めていた。
 モスクワ近郊に住むロック歌手のニコライ・ペトロフに召 集令状が来る。彼は徴兵逃れを目論むが、入隊して立派になって来いと願う両親に逆らえず入隊する。入隊訓練後、ペトロフはアフガニスタンの前線に送られ る。ソヴィエト軍はアフガニスタンの共産勢力を守るために侵攻したのだ。
 1983年アフガニスタンのパンジシール渓谷に赴任した ペトロフは、アフガニスタン人を襲い、山羊を奪うソヴィエト軍の横行を目の当たりにする。ゲリラによる戦死者も増え、すっかり気が滅入るペトロフだが、逃 げ出すわけにもいかなかった。そこで、旧知の手品師ワロージャと出会う。
 ペトロフらはアフガニスタン兵を連れて村に徴兵に行く。 ムジャヒディンは逃げ出していなかったが、ペトロフはソヴィエト兵モズクがアフガン女性を強姦しようとしているのを目撃。モズクは女性に刺されて死亡する が、ペトロフは女性を逃がしてやる。ソヴィエト軍は犯人探しをするが見つからず、一人の男を射殺し、その晩空爆で村を消滅させるのだった。
 偵察任務に出たペトロフらはムジャヒディンの襲撃に会 い、ワロージャが負傷し両腕を失う。もはや両親からの手紙にすら失意を感じるペトロフだった。
 次の偵察任務でブドウを見つけたペトロフは盗もうとする が、ムジャヒディンに捕まってしまう。ムジャヒディンに拷問されることを覚悟したペトロフだったが、司令官のナジムディンは捕虜を優遇するよう命じてい た。次第にムジャヒディンらと親密になり兄弟のように接するようになっていく。そこでフランス人カメラマンのヴェルゴスと出会う。
 冬を越し、ペトロフはロバーグ奏者のアサドと親密とな り、アフマドというアフガン名をもらう。
 いよいよ渓谷にソヴィエト軍の攻撃が強まってくる。マ スード司令官は村人たちを退避させ、ソヴィエト軍を迎え撃つ。戦闘でアサドが撃たれ、アサドはペトロフの旧知の伍長を撃つ。さらにナジムディン司令官の姪 ライラが死亡し、ペトロフは呆然とする。怒り狂うムジャヒディンに襲われそうになるペトロフだが、ナジムディンによって救われる。生前ライラがペトロフが アフガン女性を救ったことを知らせていたのだ。
 ナジムディン司令官はペトロフを自由にしてやる。ヴェル ゴスとともにフランスを目指し、パキスタン国境を目指していく。
 1984年9月、ペトロフはパキスタン国内で殺害され る。

(2008/08/16)