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かぽんの戦争映画
一方的評論
 
「ヒトラーの旋律 評価★★☆ リトアニアのゲットーで生き 延びようとするユダヤ人たち
GHETTO
2006 ドイツ・リトアニア 監督:アウドリアス・ユツェルナス
出演者:ハ イノ・フェルヒ、エリカ・マロジャーン、アイリダ・ギンタウタイテほか
107分
 カラー 
 
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 第二次世界大戦時のリトアニアで、ドイツ軍によるユダヤ人種隔離政策によってゲットーに集められたユダヤ人の生への模索を描いたヒューマンドラマ。もと はイスラエルの劇作家ジョシュア・ソボルの舞台劇で、その映画化だという。
 リトアニアといえば旧ソヴィエト連邦に属し、1941年6月早々とドイツ軍侵攻によって占領されている。もともとリトアニア人比率が高いため、独立志向 が強く、現在は独立国家となっている。戦前はユダヤ人人口が高かったため、ナチスによるユダヤ人迫害の標的となり、多くのユダヤ人が殺害されたが、日本大 使の杉原千畝が多くのユダヤ人の命を救ったことでも知られる「日 本のシンドラー杉原千畝物語・六千人の命のビザ(2005TV)」。

 本作はもとが舞台劇であったためか、全般にブツ切り感が強く視聴しずらい。舞台劇ではインパクト重視のため、多少の意味不明な場面や台詞があった方が印 象的なのだろうが、映画でやられるとストーリーの流れが飛び飛びで訳がわからなくなってくる。いくつもの場面で意味不明な台詞やほとんどストーリーに関係 しないようなエピソードが挿入される。また、劇風の急激な場面転換も多く、その度に気が逸れた。映画自体は107分と決して長いものではなかったが、それ 以上に長く感じられ、かなり疲れたのが正直なところ。

 ストーリーはゲットーに集められたユダヤ人の命を救おうと、あえて悪者に甘んじるユダヤ人警察長官ゲンツとドイツ軍指揮官キッテル少尉の駆け引きがメイ ンとなり、ユダヤ人歌手ハイヤや腹話術師スルーリクらユダヤ人の生き様が描かれており、内容自体はスリルあり、涙ありと完成度は高い方と言える。ユダヤ人 ものの場合、ユダヤ人警察もドイツ軍将校も大抵は悪者に描かれるのだが、本作では決して単純に悪者というわけでもなく、人として微妙な心の揺れ動きが繊細 に描かれているのが秀逸だ。それだけに前述の舞台劇風の箇所さえ修正されていればと思った。

 人物描写については性格付けがあまりなされていないのだが、本作に関してはそれでいいと感じた。特定の人物に入れ込むのではなく、登場人物全体の心の揺 れ動きを感じるにはちょうどいい。死に直面し緊迫する場面では、個々の心情というよりは傍観者立場で見た方が、全体像や人の即物的な動きが良く分かって良 いのだろう。
 また、エピソードの説明もあまりされていない。若干何が起こっているのかわからなかったり、その後が気になったりもするのだが、こういう重苦しい題材の 場合はそれでもいいかもしれない。
 役者は著名ではないようだが、それぞれしっかりとした個性を持っており、ドイツ軍少尉、警察長官などが好演している。この演技力による性格付けが、先の 人物説明不足を十分補っていたのかも知れない。ヒロイン歌手ハイヤ役はエリカ・マロジャーンで、妖艶な美女役を好演し、僅かだが美乳も披露している。

 ロケはリトアニアで行われたようで、リトアニア的な雰囲気はそこそこ出ている。カメラワークも悪くなく、映像アングルもそこそこ凝っている。音楽もバイ オリンを中心にした叙情的なもので映画には即しているだろう。
 ただ、歴史考証的には若干問題があるようで、登場する重火器類はアメリカ製だったりとそぐわないし、何と言ってもドイツ軍指揮官キッテル少尉はゲシュタ ポ所属のようなのだが、制服が国防軍のものとなっている。このあたりは取りあえずどうでもいいやという雰囲気も。

 全般に完成度は高いような気もするのだが、視聴し終わった後の満足感はさほどでもない。ストーリーの重苦しさもあるのだろうが、やはり舞台劇風の違和感 があったような気がする。当然内容も史実というわけでもなく、舞台劇風に肉付けされているものだけに、ちょっとリアル感に欠けたのも一因かも知れない。

エリカ・マロジャーン エリカ・マロジャーン

興奮度★★★
沈痛度★★★★

爽快度★
感涙度★★

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(以下 あらすじ ネタバレ注意 反転でご覧下さい)

 1941年6月22日、ドイツ軍はリトアニアに侵入し、首都ビリニュスを占 領。半年で55,000人以上のユダヤ人がパネリアイの森で処刑され、生き残った15,000人のユダヤ人はゲットーに集められた。
 ゲットーの一つを管理するドイツ軍指揮官は キッテル少尉で、若干22歳の若者だった。その指揮下でユダヤ人を管理するのが元リトアニア将校のユダヤ人警察長官ゲンツとデスラーだった。
 元劇場だった建物にキッテル少尉が視察に来 たとき、劇場の元歌手ハイヤが地下から這い出てきて捕まる。腹に豆を隠し持っていたことから射殺されようとしたとき、腹話術師のスルーリクと人形役リナが 道化で助け船を出す。キッテルはハイネに歌を歌わせ豆50グラム分を貸しにすると言い去っていく。
 警察長官ゲンツはキッテルが殺人鬼だという 噂をするユダヤ人の逮捕を命じられているが、実はユダヤ人を救いたいという心も持っていた。そこで、キッテルが劇場に興味を示していることをチャンスと し、地下に隠れていた踊り子や俳優らを引きずり出し、スルーリクを支配人にして劇場の再開を目論む。劇場再開に反対する労働組合で司書のヘルマン・クルッ クはドイツ人にこびを売るとしてゲンツに否定的だが、ゲンツはなんとか説得しようとする。
 また、ヴァイスコフは闇で東部戦線で戦死し たドイツ兵の軍服を仕入れ、再生してドイツ軍に売る計画を練る。ゲンツにキッテルへの許可を求め、ゲンツは工場労働者としてユダヤ人の存在を認めることが できるとキッテルに話をする。その結果、兵器製造に役立つとして固定給での労働が許可された。
 最初の公演は大成功を収めるが、裏では密売 や闇取引が横行し始める。ゲンツは見て見ぬふりをしていたが、闇商人ガースタインが仲間に殺害される事件も発生する。ヴァイスコフは商売で儲けた金を劇場 資金に投入するが、機関銃の密売がキッテルにバレ、ピンチに陥る。そこで、「部分的処刑」と「皆殺し」の違いを問われたヴァイスコフは機転を利かせ「私以 外を殺すのが部分処刑、私も殺すのが皆殺しだ」と言い、処刑を免れる。
 1942年4月、二人目の密売人が捕まり、 さすがのゲンツも見逃すことは出来ずにキッテルの見る前で処刑を実行する。
 1943年1月31日、スターリングラード の独軍第6軍がソヴィエトに降伏。次第にドイツ軍のユダヤ人処遇も厳しくなり、キッテルの表情も硬くなってくる。キッテルはゲンツを呼び、ゲットー閉鎖命 令(処刑)に対し、なんとかゲットーを残すために他のゲットーからのユダヤ人を処刑することを提案する。少しでもユダヤ人の命を救いたいゲンツは全権委任 を受入れ、少しでもキッテルの機嫌を損なわないよう苦慮する。
 パーティーの場でヴァイスコフが工場稼働の 許可を得るため、女たちはドイツ兵の暴行に耐え、さらにゲンツはハイヤに気のあるキッテルの目の前でハイヤの胸をさらけ出させ、移送されてくるユダヤ人の 処刑人数を2000名から600人にまで減らすことに成功する。だが、600人の年老いたユダヤ人は森の中でリトアニア民兵により射殺される。
 110回目の公演が行われた際に、キッテル は突然人口増加抑制のため3人目以上の子供を強制移送させはじめる。驚いたゲンツは少しでも子供を救おうとするが、多くの子供が連れ去られてしまう。ゲン ツは自分の力のなさと、血に汚れた自分を嘆き自殺しようとする。だが、一人の女がそれをなぐさめる。
 ワルシャワでゲットー蜂起が起こり、リトア ニアでも森のゲリラと接触しはじめ、ゲットー脱走計画が持ち上がる。ゲンツは近くソヴィエト軍が来ることを期待し、蜂起や問題を起こすなと説得するが、ハ イヤを始め多くのユダヤ人がゲンツを裏切り者と罵って去っていく。ハイヤもまた地下組織に参加するためゲットーを脱出していく。
 それでもゲンツはヴァイスコフに多くのユダ ヤ人を雇うように説得し、聞き入れないヴァイスコフを逮捕する。それを見ていたキッテルはゲンツにゲシュタポから出頭命令が出たことを知らせる。ゲンツが 地下組織やユダヤ人を逃がした罪だった。キッテルはゲンツに逃げることを勧めるが、ゲンツは断る。そしてキッテルは劇場団員を呼び出し上演させる。上演内 容はドイツ軍に対する厳しい風刺だった。だがキッテルは演技を賞賛し、パンなどの食料を振る舞う。だが、その直後機関銃を構えたドイツ兵が現れ、ゲンツを 含め劇場は血の海と化す。唯一隠れて生き残ったスルーリクとリナだったが、劇場舞台の下で出産した赤ん坊の産声を消すために、声真似をしたリナが顔を出 す。リナはキッテルに射殺され、キッテルは民間人の格好をして去っていく。

(2009/09/25)