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かぽんの戦争映画
一方的評論
 
「勇者たちの戦場」 評価★★★★ イラク戦争帰還兵の精神的苦悩
HOME OF THE BRAVE
2006
  アメリカ 監督:アーウィン・ウインクラー
出演者:サミュエル・L・ジャクソン、ジェシカ・ビール、ブライアン・プレスリーほか
107分 カラー 

 
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 イラク戦争の帰還アメリカ兵の精神的苦悩を描いたヒューマンドラマ。ベトナム戦争でもこうした映画はいくつも作られているが、イラク戦争でもこれから数 多く作られそうなジャンルだ。いわゆる戦争心理描写は体験した者でなければわからない、という側面があり、映画等で一般に伝えることはなかなか難しい。加 えて、戦争肯定、否定派の政治的介入というデリケートな一面を併せ持っており、とかく恣意的な内容だったり、難解なものになってしまう。
 結論から言うと、本作は戦争心理描写ものとしては秀逸な部類に入ると思う。多すぎないエピソードをもとにさっぱりと仕上げているのだ。戦争行為自体の是 非について突っ込みすぎず、苦悩する兵士自体にも善悪の評価を下さないのが良い。それでいて、兵士の苦悩を共感できるのは、蛋白ながらも確実に描かれた戦 闘シーンにあるのだと思う。戦闘シーンは決してグロいものでもなく、かなり短めなのだが、イラク戦での敵狙撃兵やテロリストの恐怖を確実に感じることが出 来る。また、帰国を熱望する感情や、戦友との友情も本当に蛋白ながらきちんと伝わってくる。こうしたイラクでの戦争シーンが本作の基盤となっているのであ る。

 やはり本作が秀逸だと感じたのは、帰還兵士の苦悩表現だ。兵士の苦悩の根底にあるのは、自身の過去の自己評価であり、それは戦争そのものへの意義でもあ る。自分の行った行為は正しかったのか、自身の行動は評価されたのか。いつの時代の戦争でもつきまとうテーゼではあるが、本作ではそれを結論づけるような 取り上げ方はしない。そんなことは見ているおまえが考えろ、という姿勢なのだとも感じる。だからこそ、兵士の苦悩は見ている側にも伝わってくるし、同調で きるのかもしれない。
 志願し、多くの戦友の死を目の当たりにした父親が、反戦を唱える息子にどのように接すればいいのか。そんな些細な苦悩がリアルに描かれている。その分、 映画としてはやや小ぶりなイメージになってしまっているが、戦争心理を描く作品としてはちょうどいいバランスになっているのではないだろうか。軍医、戦闘 部隊兵卒、整備部隊女性兵が登場するが、いずれの心情にも引き込まれていく。
 演じる役者陣は特に個性的という訳でもないのだが、そつなくこなしている感がある。もう少し演技力のある役者が演じていたらどうのようになっていたか、 ちょっと興味はあるところだ。

 撮影はモロッコで行われたようで、モロッコ軍の協力で軽装甲車両、トラックが登場している。砂漠地帯での撮影だけにイラクの感じが良く出ているのではな いだろうか。
  描かれている戦闘はアル・ハイへの医療用具輸送作戦とされ、ファルージャ作戦後で正規軍はナジャフ攻撃となっていることから、2004年頃 の話 しということだろうか。軍装は今ひとつ良くわからなかったが、それなりに考証されているような気がする。主人公らでは、ウィル軍医中佐は第1機甲師団 (OLD IRONSIRES)の所属で、主人公の一人の女性兵士(ヴァネッサ上等兵)は第 951整備中隊所属と出てくることから、ウィンスコンシン州軍の第32旅団第724整備大隊所属と思われる。ジャマール、トミー、ジョーダン二等兵?らは 右袖に第4歩兵師団と思われるパッチをつけているが、映画中で第161歩兵連隊第1大隊B中隊と言っていることから、ワシントン州軍の第81旅団所属と思 われる。このほか作戦指揮の軍曹が第82空挺師団のパッチをつけているほか、第1騎兵師団らしきパッチも見える。これらの第 951整備中隊所属も第161歩兵連隊第1大隊も2004年時にイラクに派遣されていることから、かなり史実に基づいた検証がなされているのだとは思われ る。ちなみに、第161歩兵連隊第1大隊はイラク派遣時に第1騎兵師団第3旅団や第1機甲師団の歩兵ともアタッチされているので、これらの登場人物が同時 に作戦を遂行していてもおかしくはないようだ。

 全般に見やすく、映画に没入できる良い作品と言える。人の死や生の重みというものを、こういう視点で感じることも大事なことなのだと感じた。

興奮度★★
沈痛度★★★★

爽快度★★★
感涙度★★★★

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(以下 あらすじ ネタバレ注意 反転でご覧下さい)

 イラクのバラドに展開していた米軍兵のトミー、ジャマー ル、ジョーダンの3名は2週間後の帰還が決まった。トミーは軍医のウイル軍医中佐に報告する。一方、第951整備中隊の女性ヴァネッサ上等兵も残してきた お幼い息子との再会を楽しみにしていた。
 彼らにアル・ハイへの医療用品補給任務が言い渡される。 比較的安全な地域であったが、ファジール作戦に同行したイラク兵が参加すると聞いてジャマールは嫌がる。アル・ハイに到着すると、車が通行止めにされ、テ ロ組織からの攻撃を受ける。B中隊のトミーらはすぐさま応戦し、テロリストを射殺し、残りを追跡する。ジャマールは誤って民間人を殺してしまう。一方、 ヴァネッサのトラックは現場を回避するため脇道にそれるが、イラク少年の仕掛けた爆弾で助手席の兵が戦死、ヴァネッサも腕に重傷を負ってしまう。駆け付け たウイル軍医が懸命の介抱をする。敵を追いかけたトミーらだが、ジャマールが転んで負傷。深追いしたジョーダンはトミーの目の前で射殺されてしまう。
 ワシントンに帰国したトミーはジョーダンの葬儀に立ち会 い、ジョーダンの恋人をなぐさめるが、何か変わってしまった自分を感じる。勤めていた店もくびになり、映画館のもぎりを始める。父親からは警察官試験の受 験を勧められるが、どうしても街の人間とイラクでの出来事との乖離に落ち着かず、陸軍のカウンセリングを受けることにする。
 軍医のウイルは元の民間病院に戻るが、イラクでの若者の 死が頭をよぎり、妻にもイラクでの出来事を話すことができない。さらに息子のビリーは反戦運動を行っており、父親に反抗的なのも悩みとなり、酒におぼれ始 める。妻も耐えてきたのだと訴えられるが、心を許すことができない。
 腕を切断したヴァネッサは陸軍病院での生活後、高校教師 に戻るが、腕を切断したことなどで神経が高ぶっている。同僚のケアリーの親切にも向かい合えず、子供にもつらくあたってしまう。そんな時、映画館でトミー と出会い、イラクの時を共有した戦友独特の親近感を得るのだった。さらに、自分を助けてくれたウイルのもとを訪れるが、ウイル自身が不安定だった。
 ジャマールは民間人を撃ったことがトラウマとなり、陸軍 の集団カウンセリングでも荒れている。車のディーラーの仕事もうまくいかず、恋人からも冷たくされ、恋人の働く店で、銃をもって立てこもり事件を起こして しまう。トミーはジャマールに呼び出されて店を訪れ、ジャマールを落ち着かせるが、ジャマールは立ち上がった瞬間に狙撃隊に射殺されてしまう。トミーは ジャマールを救えなかったこと、ジョーダンを救えなかったことに苦悩し、荒れ狂う。そして、スポーケン警察の試験を受験中に中座し、「軍に行かないと ジョーダンたちを裏切る気がする」と、軍に戻ることを決意する。
 ウイルはすっかりアル中になり、パーティーの席で他人を 連れ込んだり、息子ビリーを傷つけるなどし、拳銃で自殺しようとするが、ようやく我にかえってカウンセリングの治療により、イラクでの出来事を話し始め る。
 ヴァネッサはカウンセリングを信用していなかったが、よ うやく同僚ケアリーの好意に甘える決意を固め、新しい生活を始めようとするのだった。

(2008/09/29)