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かぽんの戦争映画
一方的評論
 
「愛と裏切りの戦場 アルプスの戦 士たち  評価★★★★ 膠着のアルプス戦線に潜む陰謀
LOVE SEES NO WAR/L'AMORE E LA GUERRA
2007  イタリア 監督:ジャコモ・カンピオッティ
出演者:マルチナ・ステッラ、ダニエレ・リオッティ、トマ・トラバッチ、アンドレナ・ティドナほか
206分(前編:勝機なき戦い103分、後編:最後の突撃103分) カラー 

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  第一次世界大戦時のイタリアを舞台に、対オーストリア軍最前線での激しい戦闘の中で起こる陰謀と、淡い恋物語を描いたアクション・ラブロマンス。イタリア のテレビドラマとして製作されたようで、DVDでは前後編の2部作となっている。近年のイタリアは映画・テレビともに力が入っているようで、過去のマカロ ニコンバットとはまるで異なる、シリアスで真面目なドラマとなっている。
 本作は1917年から1918年のイタリア北東部におけるオーストリア軍との戦闘で、カルソ地方やパズビオ山に追い込まれ窮地に立たされるイタリア軍の 防戦、撤退が描かれている。イタリアは第一次大戦でオーストリア・ハンガリー帝国軍とイタリア領を巡って戦闘状態にあり、最前線での膠着した塹壕戦、要塞 戦がリアルに描かれている。ちなみに、この戦闘は険しいアルプス山を主戦場としたため、アルプス戦線とも言われ、最終的にはオーストリア・ハンガリー軍の 降伏で決着する。

 主人公はイタリア軍軍曹で、戦死した小隊長の後を継いで小隊を率いるのだが、赤十字看護師として勤務する良家の伯爵令嬢を巡って上官である大尉と対立 し、スパイ疑惑に巻き込まれていくのだ。イタリア人らしく情熱的なラブロマンスも大きな主題となっているが、イタリアらしからぬ控えめで爽やかな描写に なっているのが驚きだ。また、裏切りや陰謀、友情などのサスペンス、ヒューマンドラマ的要素も含んでおり、非常に盛りだくさんな内容で見ごたえがある。そ れでいて物語が大きくブレることなく、前後編3時間半にわたってスムーズに楽しめたのは、一貫した視点ときちんとした起承転結が構築されていたからだと思 う。やや美しく出来すぎている印象もあるが、全体に完成度の高い作品と言えるだろう。

 最も印象的だったのは人物描写だ。登場人物を抑え目にし、個々の性格付けをしっかりとしているため、登場人物に心情移入しやすいし、わかりやすいのが好 感。主人公のパッリ軍曹はイタリア人男性とは思えないほど控えめでクール。こういうイタリア男も格好いい(笑)。お相手の伯爵令嬢アルベルティーナもなか なかの美女だが、何と言ってもハスキーボイスが超セクシー。イタリア映画にしてはヌードシーンが控えめな作品だが、わずかに披露するヌードシーンも見どこ ろだ。そして極めつけは孤児の少女アニータ。目がくりっとした美少女で話し方や仕草が何とも愛らしい。こんな子なら連れて帰りたくなるかも(汗)。
 映像もなかなか秀逸で、雪を冠したアルプスの風景が美しく、スケール感がある。町や要塞、戦場等のロケも決して大規模ではないが、多彩なシーンが登場 し、飽きさせずチープさを感じることもない。

 戦闘シーンは激しさこそ左程ないが、銃撃戦や砲弾着弾などはそこそこリアル。戦争映画としても楽しめるレベル。ただし、第一次大戦なので登場する兵器は 銃器類だけ。特筆すべきはやはり第一次大戦らしいシーンだろう。第一次大戦は膠着した塹壕戦が多く、無謀で凄惨な肉弾突撃が特徴的だが、本作でもご他聞に 漏れず肉弾突撃シーンがある。いつ見ても不条理で凄惨なシーンだ。また、第一次大戦時は軍の指揮系統が未熟なため、無能な上官による私的制裁や横暴が起こ るようで、本作でも上官によって無実の罪を着せられ軍事裁判で死刑宣告がなされる。同様の不条理さを描いた第一次大戦作品には「突 撃(1957米)」「総 進撃(1970 伊)」などがあり、第一次大戦独特の描写でもある。

 邦題からあまり期待していなかった分、思いのほか良作だった(笑)。アクション、ラブロマンスともに及第点以上の出来だった。テレビドラマにしておくの はもったいない位で、十分映画としてもいけるレベル。近年のイタリア映画は侮れない。 

興奮度★★★★
沈痛度★★★★

爽快度★★★
感涙度★★★★

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(以下 あらすじ ネタバレ注意 反転でご覧下さい)

 1917年トリノ。イ タリア軍伯爵レジス大将の令嬢アルベルティーナは慰問の手紙で知り 合った最前線のラニエリ中尉に恋をしていた。まだ見ぬ中尉に想いを馳せ、両親の反対を押し切って前線の赤十字看護師になることを決意する。
 最前線のカルソ前線ではラニエリ中尉は第19隊の第二小隊を率いており、部下にはロッコ・パッリ軍曹がいた。実はラニエリ中尉は手紙を文才のあるパッリ 軍曹に代 筆させていた。
 ついに、オーストリア軍陣地に突撃することとなり、パッリ軍曹はビビりまくる新兵たちを励ます。ラニエリ中尉もビビるが勇敢なパッリ軍曹を見習って先陣 を切ろうとする。パッリ軍曹は中尉をかばうが、中尉は敵弾にあたってしまう。息も絶え絶えの中尉はパッリ軍曹にアルベルティーナの写真を託し、手紙を出し てほしいと言い残して死亡する。第二大隊長のアヴォガドロ大尉はパッリ軍曹に、戦闘で臆病風を吹かせた兵を一人見せしめのために射殺するよう命令する。 パッリ軍曹は戦死体を利用して銃殺するふりをするのだった。
 アルベルティーナは赤十字看護婦として前線基地にやってくる。だが、前線の病院は想像を絶する凄惨さで、脚の切断や治療不可の死を待つ兵で埋め尽くされ ている。何もすることができないアルベルティーナは衝撃を受け、死を待つ兵のためにオルガンを弾く。医師には怒られたがパッリ軍曹の部下ベルテッリは天使 のようだと心を癒されて死んでいく。パッリ軍曹はそれがアルベルティーナだと知るが、ラニエリ中尉が死んだことも代筆のことも言い出せなかった。一方、出 世を目論むアヴォガドロ大尉はレジス令嬢アルベルティーナに接近しようとする。だが、アヴォガドロ大尉は賭けで多額の借金を負い、謎の女マティルデと急接 近する。
 パッリ軍曹は売春宿に住む孤児の少女アニータと仲良しだった。アニータは軍曹をロッコと呼んで慕い、次第にアニータを介してパッリ軍曹とアルベルティー ナは急接近していく。
 第19隊のパッリ軍曹はパズビオ山前線のイタリア軍要塞に配置される。ここはオーストリア軍の攻撃にさらされ危険な場所であった。アルベルティーナはラ ニエリ中尉を探しに無理やり前線にやってくる。パッリ軍曹はついにアルベルティーナにラニエリ中尉が戦死したことを伝える。アルベルティーナがショックを 受けている所に父親のレジス大将がやってくる。大将はすぐにアルベルティーナに下山するよう命じるが、オーストリア軍の攻撃で瀕死の重傷を負う。身を呈し たパッリ軍曹の救出にも関わらず大将はアルベルティーナの腕の中で息絶える。アヴォガドロ大尉はアルベルティーナを連れて戦線を離脱し、恋敵のパッリ軍曹 にしんがり抗戦を命じる。
 1917年10月24日、カポレット敗退。母親、大尉と車で避難中のアルベルティーナは民間人の負傷者を見て、現地に残って治療することを決意。そこで 避難してきたアニータと再会し、同僚のコジマとともにバッサーノのヴィラマルゴン軍事病院に勤務する。
 パッリ軍曹のしんがり隊はアルプスの雪山を徒歩で移動し、アルプス山上のグラッパ前線要塞に到着する。そこはオーストリア軍の難攻不落の要塞「はやぶさ の巣」があり、苦戦を強いられていた。元炭鉱夫のパッリ軍曹は巡察に来たクローチェ大将にトンネルを掘って敵陣に突入する案を提案する。大将はパッリ軍曹 の提案を取り入れ軍曹に指揮を取らせることに。だが、恋敵で面子を潰されたアヴォガドロ大尉は苦々しく思う。パッリ軍曹は大将に招かれた晩餐会でアルベル ティーナと再会し、ついに代筆のことを告白する。一旦は怒ったアルベルティーナだったが、すぐにパッリ軍曹と恋仲となっていく。
 いよいよトンネルが完成し、パッリ軍曹は敵要塞に突入する。だが、要塞はもぬけの殻で爆薬が仕掛けられていた。情報が筒抜けになっており、多くの兵が負 傷し、先頭にいたパッリ軍曹は崩れた土砂で行方不明になってしまう。

 アルベルティーナはもはやベテランの域に達するが、パッリ軍曹が行方不明に なったことを知り不安に駆られる。だが、アヴォガドロ大尉はパッリ軍曹がスパイで敵に情報を売ったと言いふらし始める。さらにクローチェ大将は別の前線に 赴き、事実上の指揮官はアヴォガドロ大尉となり、パッリ軍曹を犯罪者に仕立て上げ、アルベルティーナを狙い始める。下心ミエミエのアヴォガドロ大尉の行動 をマティルデは苦々しく思い、オーストリア軍との次の取引を持ちかける。実はマティルデはオーストリアのスパイで、借金の肩代わりのかわりにアヴォガドロ 大尉から情報を得ていたのだ。
 パッリ軍曹は捕虜となり、オーストリア軍収容所にいた。パッリ軍曹は脱走を企て、ジローラモとアッティリオを連れて脱走する。ジローラもは足を負傷して おり、追い詰められた3人は崖から飛び降りて逃げる。だが、逃げたと思った河原でアッティリオが撃たれて死亡。助けようとしたパッリ軍曹も肩を撃たれ、ジ ローラモはパッリ軍曹を山小屋において4週間ぶりに自軍陣地にたどり着く。だが、指揮権を持ったアヴォガドロ大尉は事実を隠蔽しパッリ軍曹に罪を押しつけ るため、ジローラモを逃亡罪で逮捕する。トンマーゾはジローラモからパッリ軍曹のことを聞き、アルベルティーナとアニータを連れて山小屋に向かう。瀕死の パッリ軍曹を手当てし、アルベルティーナとアニータは一緒に山小屋で暮し始め、ついに二人は結ばれる。
 ジローラモが逮捕されたことを知ったパッリ軍曹は基地に戻り、真実を語ろうとする。だが、アヴォガドロ大尉により逮捕され軍事裁判所に送られる。頼みの クローチェ大将は戦死し、パッリ軍曹はジローラモとともに銃殺刑が決定する。アヴォガドロ大尉はスパイの罪をパッリ軍曹に着せたことで強気になり、一緒に オーストリアへ逃げようと通行証を持ってきたマティルデを邪険にする。そして、アルベルティーナはパッリ軍曹を救うためにアヴォガドロ大尉の求婚に応じる ことを決意する。パッリ軍曹とジローラモは銃殺場に連れ出されるが、車に乗せられて移動する。連れて行かれた先はグラッパ前線の第一線だった。同様の犯罪 兵とともに必死の突撃を敢行させられるのだ。トンマーゾは警護兵として駆り出され、戻ってきたら銃殺するよう命じられる。アヴォガドロ大尉の号令でパッリ 軍曹は弾の抜かれた銃を持たされオーストリア軍機銃陣地に突撃する。次々と倒れる兵の中、パッリ軍曹は生き残ったジローラモが囮となり手りゅう弾を敵陣地 に投げ込むことに成功。陣地を奪取するもジローラモは戦死してしまう。
 一方、アルベルティーナのもとにオーストリア軍の通行証を持ったマティルデが現れる。裏切られた腹いせにスパイの証拠を渡す。アヴォガドロ大尉がスパイ だと知ったアルベルティーナは、バセット少佐に第一線に連れて行ってもらう。そこで副官のヴァルター中尉に証拠を見せ、ヴァルター中尉は大尉を逮捕しよう とする。だが、逆襲に会い中尉は死亡し、アルベルティーナ自身も捕まってしまう。そこに帰還したパッリ軍曹が姿を現す。大尉は警護兵らにパッリ軍曹を逮捕 するよう命じるが、もはや誰も従わず、大尉は逮捕されるのだった。
 1918年11月4日終戦となり、パッリ、アルベルティーナ、アニータの3人は幸せに暮らすのだった。 


(2009/05/21)