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かぽんの戦争映画
一方的評論
 
「オーストラリア  評価★★☆ アボリジニ混血児の少年を救う英国夫人
AUSTRALIA
2008
  オーストラリア 監督:バズ・ラーマン
出演者:ニコール・キッドマン、ヒュー・ジャックマン、デヴィッド・ウエンハム、ブランドン・ウオルターズ ほか
165分 カラー 

 
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 第二次世界大戦の折、オーストラリア白人による原住民アボリジニへの人種差別を背景に、亡夫の経営していた豪州の農園を引き継いだ英国夫人が、白人牛追 い男との恋愛に落ちながら、アボリジニ混血児に愛情を注いでいくというアドベンチャー系ドラマ。戦争映画ではないことは重々承知だったが、日本軍のダー ウィン空襲が登場すると聞いて、興味本位で見てみた(笑)。原住民への迫害や旧日本軍ということで、当初はオーストラリア人が行ってきた原住民への同化政 策、人種差別を描いたシリアス系歴史劇かとも思ったが、メインはラブストーリーで、映像や展開に何やらファンタジー的な非リアル感もあって、アドベン チャーファンタジーと言った方が良いかも知れない。

 そもそも英国連邦国の一つであるオーストラリアは英国の強い影響下にあり、1800年代に英国が植民地支配し、強い白豪主義のもと原住民(アボリジニな ど)への迫害、殺害を続けてきた歴史がある。アボリジニの同化政策が公式に中止となったのは1970年代のことであり、ヨーロッパから遠く離れた白人国家 だけに、人権や国家品格という点では大きく遅れをとってきた国である。特に第二次世界大戦時は勇猛ではあるが、野蛮な軍隊としても知られ、日本兵を捕虜に せずに殺害することを栄誉とした部隊もあったほどだ。

 さて、本作ではアボリジニへの謝罪のようなテロップも流れるが、どう見ても白人至上であるという根底は変わっていないように見える。オーストラリア人に とっては反省なのかもしれないが、本作品をアドベンチャーファンタジーにしてしまった時点で、かなりの違和感を感じる。
 また気になるところとしては、ダーウィンを空襲する日本軍が登場するのだが、これに続いて島に上陸した日本兵がアボリジニを射殺するシーンがあるのだ。 アボリジニが先に発砲しているし、メイン部分ではないのでさほど気にする表現でもないのだが、そもそも日本軍によるダーウィン空襲は事実だが、オーストラ リアに上陸した事実はなく、日本兵を悪玉にしようとする意図なのだろうか。近年、捕鯨問題でテロ組織シーシェパードをオーストラリア政府が黙認す るなど、反日的な姿勢も気になるところであり、このシーンの挿入の意図は何なのか、いささか不愉快ではある。ちなみにオーストラリア製作の戦争映画だと「特別奇襲隊Z(1981豪台)」や「男たちの戦場(2006豪)」などがあるが、いずれも日 本兵はひどい描かれ方だ。

 ストーリーそのものだが、ニコール・キッドマン、ヒュー・ジャッ クマンの美男美女のラブストーリーという実にベタな内容だった。悪者に乗っ取られそうになる牛や農園を守るというアドベンチャーも面白いし、神秘的なアボ リジニ少年の成長過程も悪くはないのだが、全般に盛り上がりに欠けた。全体のまとまりが悪いわけでもないのだが、映画として は多々のイベントを盛り込みすぎ、長尺すぎたのが良くないのかも。食肉牛売買の成功までを第一部とすると、第二部が日本軍来襲からの生還になるのだろう が、第一部だけでも十分だったという印象。
 また、作り込みがあくまでアドベンチャーファンタジー調なので、リアル感が全く感じられず、歴史的背景やアボリジニに対する思い入れというものが完全に 薄れてしまったのも残念かな。どうせなら全く関係なく、もっとドキドキの冒険かファンタジーに徹した方が良かっただろう。真面目に見るべきなのか、ふざけ て見るべきなのか、ちょっと中途半端になってしまった感がある。

 映像はCGを多用。町や港の俯瞰映像はほとんどがCGで、スケール感も良く出来てはいたのだが、そればかりだといい加減醒めてくる。実写でいけるところ は、できるだけ実写でやったほうがリアル感が出ていいと思うのだが。
 ただ、ダーウィンを空襲する日本軍航空機部隊のCGだけは良い。零式艦上戦闘機、九七式艦上攻撃機、九九式艦上爆撃機がきちんと描かれており、飛行、爆 撃シーンもなかなか秀逸。ここがメインじゃないのかと思うくらい丁寧に?作られており、これがまた格好良いのだ(笑)。ここまで立派に描いてくれたのだか ら、日本兵上陸捏造シーンとは相殺かな(笑)。このほか、英豪軍駆逐艦等の艦船もCGだが、結構リアルにできていた。

 全体として、まあまあ見れたという程度の出来で、アボリジニを出汁にした白人ラブストーリーでしかない。アドベンチャーにしてもファンタジーにしても ちょっと中途半端で、大作というほどのものではなかった。やっぱり心に染みるものがなかったのが最大の欠点かな。ニコール・キッドマン、ヒュー・ジャックマン見たさならば、言うことはないが。

興奮度★★
沈痛度★★

爽快度★★★
感涙度★★

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(以下 あらすじ ネタバレ注意 反転でご覧下さい)

 1939年のオーストラリアのダーウィンの港。英国夫人サラ・アシュレイは オーストラリアに渡った夫を追ってやってくる。夫はファラウェイ・ダウンズという牛牧場と農園を経営しており、英軍の食肉売買契約を控えていた。迎えに来 たのは野暮な牛追い男ドローヴァー。白人だが、アボリジニと結婚(死別)し、アボリジニを使うため、他の白人たちからは煙たがられ卑下されている。
 長い道のりを経てようやく牧場にたどり着い たが、夫は殺害されていた。管理人のニール・フレッチャーはアボリジニの呪術師キング・ジョージの仕業だと言うが、実はライバル経営者カーニーと裏でつな がっていたフレッチャーの仕組んだものだった。このことを、牧場にいるフレッチャーとアボリジニの混血児である少年ナラが暴露し、サラはフレッチャーを解 雇する。しかし、その際に1,500頭の牛を放牧したうえ、カウボーイたちも連れて行ってしまう。
 途方にくれたサラだったが、ドローヴァーが 戻ってくる。気位の高いサラだったが、フレッチャーを見返してやるために1,500頭の牛を軍に売るため、ダーウィンまでの移送を手伝うようドローヴァー に頼む。同化政策のためにナラを捕まえに来た警察から逃れるため、ナラの母親が死んでしまうが、サラ、ドローヴァー、ナラ、アボリジニのマガリ、グーラ ジ、アボリジニ女性のバンディ、中国人料理人シング・ソング、アル中白人会計士キプリング・フリンたちは協力して牛の移送を始める。
 カーニーやフレッチャーはサラが牛を移送し 始めたことを知り、妨害工作を始める。フレッチャーがつけた火に驚いた牛が暴走を始め、キプリング・フリンが死亡するも、ナラが牛の暴走を止める。また、 オアシスの水源に毒を入れられ、サラらはキング・ジョージの導きで死の砂漠を横切っていく。
 ギリギリの所で軍に牛を納入できたサラは、 夫の意志を引き継いでファラウェイ・ダウンズを復活させることを決意する。ドローヴァーに管理人を頼むが、最初は断る。だが、舞踏会の会場に現れ、二人は 結ばれる。
 ファラウェイ・ダウンズでの農場経営は順調 だったが、フレッチャーがカーニーを殺害し、経営を乗っ取ると、次第にサラの農場にも手を出し始める。また、ナラがアボリジニの習わしで旅に出ようとする が、それを止めたいサラとドローヴァーが喧嘩し、ドローヴァーは農園を飛び出してしまう。
 そして、1942年になるとオーストラリア は日本に宣戦する。ナラとキング・ジョージはフレッチャーの罠で捕まってしまい、同化政策のために伝道の島に連れて行かれる。サラはナラを追いかけてダー ウィンに来るが、どうしようもない。フレッチャーは農園を売れば助けてやると持ちかけ、サラは契約書にサインをする。その時、ダーウィンは日本軍の空襲を 受ける。
 ひどい損害を負ったダーウィンから皆が避難 を始める。駆けつけたドローヴァーはサラが死んだものと思い、伝道の島にナラを助けに行く。島には日本軍が上陸しており、なんとか船に乗せて子供たちを脱 出させるが、アボリジニのマガリは殿で射殺されてしまう。
 ダーウィンでは死んだと思っていたサラが生 きており、皆でファラウェイ・ダウンズに帰ろうとするが、血迷ったフレッチャーがナラを銃で撃とうとする。そこをキング・ジョージの矢が貫いて助かる。
 牧場に戻ったナラは改めて祖父キング・ ジョージと旅に出るのだった。

(2009/3/9)