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かぽんの戦争映画
一方的評論
 
「ディファイアンス  評価★★★☆ ベラルーシの森の中で生き延びたユダヤ人共同体
DEFIANCE
2008
  アメリカ 監督:エドワード・ズウィック
出演者:ダニエル・クレイグ、リーヴ・シュレイバー、ジェイミー・ベル、アレクサ・タヴァロス、ミア・ワシコウスカ ほか
136分 カラー 

 
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 第二次世界大戦時のベラルーシを舞台に、ドイツ軍のユダヤ人虐殺(ホロコースト)から逃れ、森の中で抵抗を続けながら1,200名のユダヤ人を救った 3人のユダヤ人兄弟ビエルスキを描いたヒューマン戦争ドラマ。ユダヤ人がユダヤ人を救ったこの話は実話をベースにしており、原作は1993年のネハマ・ テック教授による「ディファイアンス ヒトラーと闘った3兄弟」。ビエルスキ3兄弟はドイツ軍侵攻によって両親を殺害されたのち森に逃げ込み、それから約 3年間もの間ユダヤ人パルチザンとしてドイツ軍と闘いながら森の中にキャンプを形成するのだ。
 ユダヤ人以外の者がユダヤ人の命を救う話は「シンドラーのリスト(1993)」 「戦 火の奇跡〜ユダヤを救った男〜(2002)」「ゲ シュタポ・地獄の追跡 ホロコーストの子供たち (2004)」「日本のシンドラー杉原千畝物語・六千人の命のビザ(2005)」といった映画で知られているが、本作はユダヤ 人レジスタンスの中での救命劇といったものになる。当時多くのユダヤ人が強制収容所に送られたり、虐殺されたのだが、それから逃れたユダヤ人が各地でレジ スタンス(抵抗)活動を行っていたことは知られている。だが、その多くは武器を持った若者らであり、対ドイツへの破壊活動を主としたものであった。ビエル ス キの長兄トゥヴィアは「10人のドイツ兵を殺すより、おれは一人のユダヤ人の老婆を救う」として、戦えない老人や女子供の救済に主眼を置いたことが注目さ れているのだそうだ。ちなみに、ユダヤ人レジスタンスが登場する映画としては「聖 週間 (1995)」「アッ プライジング(2001)」「戦 場のピアニスト (2003 )」が有名。

 本作は、勇敢な行為と美しい人情に感銘を受けるものではあるが、決して美化された場面ばかりではないのが好感だ。人の命を救うためには、ドイツ兵や協 力者の殺害、略奪、復讐、そして造反者の粛清など避けて通れぬ道がある。確かに1,200名の命を救った事実に評価すべき側面はあるが、そのために犯した 罪は正当化されるわけではない。本作では、その行為が正しいかどうかということではなく、生きるためには何を選択すべきなのか、人間の性とは何なのかとい うこ とを強く感じ取ることができた。生き残るためには、ドイツ人、ロシア人、ユダヤ人だろうと関係なく、主義・思想など何の意味もない。そこに必要なのは統制 と義務 だけだ。従って、本作を美談としてではなく、人間の本能を表現したものとして捉えるのがいいだろう。そういう意味で「戦 場のピアニスト (2003)」と似たテーマ性を感じた。

 内容的には、1941年6月のドイツ軍侵攻から約3年間の、恐怖と苦難に満ちた逃亡劇の中で、多くの同胞を救おうとする心情と葛藤、その共同体を統括す るリーダーの苦 渋などが良く描かれている。だが、残念なことに3年間の逃亡の恐怖と苦難というものは余りリアルに感じられなかった。たった2時間で3年間の森の中の生活 を表すのは難しかったのだろうが、ベラルーシの極寒や極度の飢え、そして敵の恐怖というものが真に迫ってこない。1,200名もが森の中で生活するのだか ら、相当な食糧や日用品不足に襲われていただろうと思われるが、登場する役者たちが思いのほかふくよかなのが・・・。そう言う点では「戦場のピアニスト」 の寒さや飢えの表現は素晴らしかったと言える。
 また、ドイツ軍や地元警察との関係や、彼らからのプレッシャーも今一つわかりにくい。1,200人もの人間が森の中で暮す訳だから、相当見つかりにくい 森 の奥に潜んでいたのだろうか。とはいえ、食料調達のためにはそう深くにいては困るだろう。それとも実際にはそれほど執拗にユダヤ人パルチザン狩りは行われ てい なかったのか、赤軍に守られていたのか。ゲットーからの集団脱走が出来るくらいだから、実は駐屯するドイツ軍の支配力はさほど強くなかったのかもしれな い。映画の中からはそういう 背景が余り見えてこず、逃亡劇というリアル感が感じにくく、3年間がたかだか数カ月といった印象だった。
 監督は「ラ ストサムライ(2003) 」「ブラッド・ダイヤモンド(2007)」のエドワー ド・ズウィックで、ドラマ性を重視しリアル感を追随するタイプではないのがその要因の一つかもしれない。

 ロケ地はリトアニアだそうで、実際にリトアニアでも本作と同様なドイツ軍によるユダヤ人虐殺があったそうだ。地形的にも似ている ので、森の雰囲気は良く出ているのだろう。森の中に作ったログハウス風のキャンプの雰囲気もいい。ただ、最盛期にはパン屋、靴屋、床屋のほか、学校、刑務 所まであったというので、そこまで復元してくれたら面白かったかも。
 主役のビエルスキ長兄トゥヴィア役はダニエル・クレイグ。彼が終始健康的すぎるのも逃亡劇の雰囲気を阻害したが、ちょっとユダヤ人役のイメージでもな い。恋人リ ルカ役は美女アレクサ・タヴァロス。こちらも終始ふくよかなのが・・・(笑)。
 なお、ソヴィエト赤軍パルチザンと共闘する場面もあるので、一部ロシア語で話しているが、その他は英語。本来はベラルーシ語かロシア語だと思われるが、 まあ仕方のないところか。

 兵器類では稼働しているIV号戦車が一台登場。長身砲搭載なのでG、H型あたりのイメージだろうか。航空機ではキャンプを爆撃するJu87急降下爆撃機 スツーカやJu86爆撃機?が登場するが、多分CG。銃撃戦はやや淡泊ながらも結構リアルで、短機関銃やライフルでの銃撃、着弾映像はしっかりしている。 ただ、爆撃、戦車弾の着弾シーンはちょっとしょぼいかも。

 全般に重い題材を良くまとめあげており、ホロコーストの歴史の一部を掘り起こしたという意味で重要な映画の一つになるだろう。ストーリー性も問題なく、 映画作品として堪能できる出来栄えだ。ただ欲を言えば、その凄惨さをもう少し表現しても良かったのでは、という点で若干の減点要素となってしまった。

興奮度★★★
沈痛度★★★★

爽快度★★
感涙度★★★

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(以下 あらすじ ネタバレ注意 反転でご覧下さい)

 1941年6月、ベラルーシにドイツ軍が侵 攻。8月になり、ホロコースト政策により、地元警察の協力者のもとユダヤ人の連行と殺害が始まる。ビエルスキ家でも両親が殺され、次男のズシュ、三男アザ エルは幼い四男のアローンを連れて、近くのリピクザンスカの森に逃げ込む。そこに長兄のトヴィアが合流し、さらに森にのげ込んでいたユダヤ人たちが合流し 始める。トヴィアは食糧と武器調達のため父の友人コスチュクの家に行き、食糧と武器を入手するも、そこにユダヤ人狩りをしている警察署長ベルニッチがやっ てくる。両親を殺した犯人である。コスチュクの納屋にはほかのユダヤ人も隠れており、トヴィアは彼らを連れていく。彼らの中にはトヴィアの恩師ハレッツや 編集者のイザックらもいた。
 トヴィアは復讐のためベルニッチの家に行 き、息子二人とともにベルニッチを射殺する。しかし、復讐した後の気分がすぐれない。
 10月になり、十人に膨れ上がった彼らは簡 単なログハウスを造り、生活を始める。そこにホロディッシュ町から逃れてきた二人が合流する。ホロディッシュにはズシュの妻子が残っていたが、殺されてい た。ズシュは自暴自棄になるが、すぐに武器を取りドイツ軍への抵抗を意識するようになる。レジスタンス化し、ドイツ軍から武器を奪い、農民から食料を略奪 するようになり、農民からも厭われるようになる。そんな中、ドイツ軍へのテロ攻撃の際に二人が死亡、アザエルが行方不明になる。戦闘に意識を強くするズ シュだったが、トヴィアはあくまで森での生活を重視する。そんなトヴィアを腰抜けと呼ぶものもいた。
 アザエルはコスチュクの家にベラとハイアと いう女性とともに匿われていた。コスチュクはユダヤ人隠匿容疑で処刑されていた。森ではさらに人々が増え始め、ズシュはベラと、アザエルはハイアと恋仲に なっていく。ノバグルドクの町でトヴィアの妻が殺された情報が入り、さらに農民の案内で警察部隊がキャンプに攻めてくる。なんとか、撃退したものの彼らは 森の中で流浪の旅を余儀なくされる。
 その後、偵察に出たトヴィアとズシュはソ ヴィエト赤軍パルチザン部隊と出会い、指揮官のヴィクトル・パンチェンコ とグラモフと会談のうえ、共通の敵と戦うため協力することとなる。その時、バラ ノヴィッチのゲットーが閉鎖されユダヤ人が処刑されるとの情報が入り、トヴィアは全員の脱走救出に向かおうとするが、人数が増えることを危惧したズシュは 対立し、戦う仲間を連れて赤軍のもとに行ってしまう。
 トヴィアはゲットーでユダヤ人を説得し、結 局全員の脱走に成功する。森のユダヤ人は1,000人以上に増え、時計職人や看護師など各職業を生かしてキャンプを作っていく。アザエルはハイアと結婚す る。
 12月になり寒さに凍える中、食糧も何日も 取れない日が続く。さらにチフスが蔓延し、ペニシリンが必要だが赤軍はわけてくれない。そこで、ズシュは警察署を襲撃して薬を奪取するが、仲間を失い自身 も負傷する。また、キャンプでは食料調達班のアルカディが不公平な横暴を始め、リーダーの座を奪おうとする。トヴィアはアルカディアを射殺し、キャンプの 統制を保とうとする。
 1942年春になり、トヴィアはゲットーか ら来た女子大生リルカと恋仲になる。また、妊娠は禁止にしていたが、ドイツ兵にレイプされた女性が出産する。そんな中、見張りについていたアローンがドイ ツ兵を捕虜にしてくる。怒りに駆られるユダヤ人は、ドイツ兵を撲殺するが、トヴィアはそれを見て見ぬふりをする。そのドイツ兵の書類から2日後にドイツ軍 が森を包囲することが判明する。ソヴィエト軍は森からの撤退を決め、トヴィアたちは取り残されることに。
 出エジプトの日、トヴィアは森の脱出を決意 し準備を始めるが、上空にドイツ軍の爆撃機が飛来し攻撃を受ける。さらに地上軍の攻撃が予想されるため、アザエルら数人が後衛を買って出る。その間にト ヴィアたちは森を後にする。しかし、行く手に巨大な川が広がっており、老人子供らのいるトヴィアは絶望し渡る決断がつかない。そこに生き残ったアザエルが 追いつき、奇跡を起こそうとトヴィアを促すのだった。トヴィアたちはやっとの思いで川をわたりきるが、ハレッツは息絶え、さらに戦車を有するドイツ軍が待 ち構えていた。イザックも戦死し、窮地に追い込まれたトヴィアたちだったが、そこにズシュらの部隊が現れる。戦車を撃破し、ユダヤ人たちは命拾いする。ズ シュは撤退する赤軍から離れ、再びトヴィアたちに合流することに。
 その後、1944年7月ドイツが撤退するま で彼らは森の中をさ迷い歩くのだった。
 戦後、ズシュとトヴィアはアメリカに移住し た。アザエルは戦中にソヴィエト軍に召集されて戦死した。
 
(2009/2/15)