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かぽんの戦争映画
一方的評論
 
アフリカン・ソルジャー 〜少女兵士の戦場〜  評価★★★ 生きるため銃を持つアフリカの少女
HEART OF FIRE/Feuerherz
2008
  ドイツ・オーストリア 監督:ルイジ・ファロルニ
出演者:レテキダン・ミカエル、ソロミエ・ミカエル、セーブル・ ティラフン ほか
92分 カラー
 
 
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 エチオピア支配下のエリトリアを舞台に、エリトリア独立戦争における黒人少女戦士の悲劇を描いた、戦争ヒューマンドラマ。アフリカ内戦では多くの少年少 女兵士が製造され、凄惨な悲劇が起こっていることは知られているが、本作もセナイト・メハリの自伝小説をもとに製作されたドキュメンタリー風のタッチで、 多くの社会的風刺と警鐘が盛り込まれている。映画はメハリ自身の視点で、アウェトという少女によって語られていく。
 エリトリアはアフリカ北東部の小国で、イタリア・イギリス植民地からの脱却後、エチオピアの併合を受けており、その独立のために1970年代からエリト リア解放戦線(ELF)やエリトリア人民解放戦線(EPLF)によるゲリラ戦が繰り広げられた。結果、エチオピアのティグレ人民解放戦線(TPLF)らと の協同により1993年独立を果たすこととなる。本作はその独立直前の時期を描いたもので、エチオピア軍に対抗しつつも、ELFとEPLFの主導権争いの 内紛が切々と描かれている。作品中では主人公が所属し、古い組織のジェブハと新興組織のシャビアという組織が登場する。良く分からないが、独立後も母国に 戻れないというテロップが流れるので、主人公のジェブハがELF系の組織のような気がする。

 ストーリー自体は結構コンパクトで、やや淡泊な印象。まあ、少女兵士の経験談をもとにしているのだから当然といえば当然だが、エリトリア独立戦争や内紛 の状況はいささかわかりにくいのは事実。その辺りを知らなくても映画としては、少女兵士の誕生や悲劇など、心に響く部分は多分にあるので問題ないのだが、 戦争マニア的にはやや不満も。やはり少女兵士を製造せざるを得ない背景や、彼らの気質や人種を理解する上ではもう少し突っ込んで欲しかったところか。
 主人公のアウェトは銃を持つのがやっという年齢で、銃を持つことの意味に翻弄されつつも、やはり最後は理性を保つのだが、アフリカ各地で問題になってい る少年少女兵の多くは、強制的・強圧的に兵士にされ、理性や感情の精神的崩壊が著しいと聞く。その辺りももっと描いてあると幅が広がった様な気がする。
 とはいえ、何故少年少女が銃を持つのかといった闇の部分には、十分触れることができる作りとなっている。物質的にも精神的にも裕福になった我々日本人に とっては、なかなか理解しがたい状況ではあるが、たかだが60年前の日本においてもそれに近い状況があったことを忘れてはならないだろう。子供が生きるた めに銃を持つ、それは人間の性なのか、大人が悪いのか・・・。

 ロケ地はケニア。アフリカらしさが十分出ており、スケール感もそこそこ。映像もきれいで、派手なアクションがあるわけではないが、カメラワークも悪くな い。内戦ということもあって、登場する兵器類は小銃のみ。銃撃戦そのものも派手さはない。まあ、少女兵が銃を乱射するシーンなど見たくもないのが心情だ が。

 全般に良くできている映画で、バランスも悪くはない。ただ、インパクト感や後味という点ではもう一歩何か欲しかったところ。途中での盛り上がりや、起承 転結がもう少しシャープだと良かったかも知れない。ただ、こうした少年少女兵の問題を提起した社会派映画としては秀逸な部類に入るだろう。極端なメッセー ジ性や政治性がないのも好感を持った要因の一つかもしれない。
  

興奮度★★
沈痛度★★★★

爽快度★★★
感涙度★★

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(以下 あらすじ ネタバレ注意 反転でご覧下さい)

 アフリカの小国エリトリアはエチオピアからの独立を図るため、武装蜂起しゲ リラ戦を行っていた。少女アウェトの父も戦士で、アウェトを修道院に預けたまま行方不明になっていた。
 修道院のシスター・アナのもとで暮らしてい たアウェトに、父の使いで姉フレウェイニが訪ねてくる。アウェトは父のもとに帰ることになる。バスを乗り継ぎ、エリトリア解放区に入るとそこには多くのエ リトリア人と解放戦線戦士がいた。父ハイレはジェブハの元戦士で、胸に傷を自慢していたが、実はバーの喧嘩で刺された傷であることを姉フレウェイニから聞 かされる。古いジェブハは新興の組織シャビアと抗争を始めていた。
 家では継母ゲネットとその子供がおり、フレ ウェイニとアウェトは厄介もの扱いでこき使われる。問題を度々起こすアウェトを見て、父ハイレはフレウェイニとアウェトを連れてアスマラのジェブハ本拠地 に連れて行く。
 二人は真の社会主義国家を目指すジェブハに 所属することとなり、姉のフレウェイニは銃を支給され、教官マアザのもとで兵として訓練を始めさせられる。アウェトは小さいために、ミケーレのもとで教育 を受ける。だが、少ない食料は兵が優先でアウェトらは食事がもらえない。我慢するアウェトだが、徐々にマアザらに認められていく。
 フレウェイニは度々の戦闘に駆り出され、最 初は勇敢に戦っていたが、仲間の死を目の当たりにしてから次第に陰鬱になっていく。そしてシャビアとの抗争が激化し、全面戦争に入る。マアザはアウェトら 小さい子にも銃を与えて訓練を始める。ミケーレはそれに批判的だったが黙殺される。アウェトは戦争に懐疑的なミケーレの話しを聞き、自分たちの銃の弾を抜 いてしまう。その直後、シャビアの襲撃を受けたアウェトらは反撃しようとするが弾がなく、少年のテスファイが足を撃たれてしまう。アウェトは酷く怒られ、 姉ら仲間の信頼も失っていく。
 ミケーレはアウェトら少年少女を連れてスー ダンに脱出することを計画。だが、その晩シャビアの遊撃を受け、ミケーレは死亡してしまう。
 ある日、アウェトらは敵の背後にまわって敵 を撃つ。瀕死の敵兵のサンダルを見てアウェトは内紛の意義に疑問を感じる。アウェトはマアザに銃を突き返し、もう終わったのよと姉やテスファイとともに徒 歩で砂漠をわたり、スーダンに向かうことにする。途中で力尽きようとした所で、スーダン人に救われる。アウェトはその後スーダンでジェブハの亡命者と出会 い、ヨーロッパに渡る。マアザの部隊は全滅したと聞く。
 1993年エリトリアは独立を果たすが、ア ウェトは母国に戻ることができていない。

(2009/012/01)