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かぽんの戦争映画
一方的評論
 
「南京の真実 第一部 七人の「死刑囚」  評価★★☆ A級戦犯の静かなる最期
2008
  日本(南京の真実製作委員会) 監督:水島総
出演者:浜畑賢吉、 藤巻潤、 寺田農、 渥美國泰、 久保明、 山本昌平、 十貫寺梅軒、 三上寛ほか
171分 カラー 

 
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 南京陥落70周年を迎え、 近年諸外国で制作されようとしている「南京大虐殺」映画に対抗し、南京事件の真実を知らしめようと言う意欲的な発意のもとに制作された第一部。第一部は七 人の死刑囚、つまりA級戦犯を主題に取り上げたもので、南京事件の真実に直接触れたものではなく、その前段という位置づけのようだ。
 南京事件とは、1937年の日本軍の南京入城の際に起こった虐殺事件のことを指し、数万人とも 40万人とも言う虐殺を行ったとされる事件のことである。実際に捕虜の処刑、民間人殺害、婦女暴行などが行われたことは確からしいことではあるが、アメリ カや中国によるプロパガンダに利用された結果、誤謬や誇張がなされて伝わっている可能性が示唆されている。南京事件の実態については、諸説紛々とした状態 であり、未だ的確な検証が行われたとは言えない。しかし、敗 戦国として戦勝国のプロパガンダによって戦後60年以上にもわたって執拗に悪玉扱いを受け続けることは、非常に理不尽なことであるし、日本軍が何を行ったにせよ、真実を求めていくことが重要な ことである。我々日本人自身が受け入れられる、そして政治や外交カードとして利用されることのない、真実を自ら検証していく姿勢が必要なのだ。我々日本人は自虐史観から次のステップに移るべき時期に来たのだとも言える。
 そう言う意味で、本作に課せられた使命は重要であり、特に日本発の外国人に向けた新たな一歩であって欲しいと願うものであった。

 だが、その期待と願いは脆くも崩れた。相当贔屓目に見ても、本作が外国に発信できる資質を持っているとはなかなか言い難い。製作委員会には相当な面々が 名を連ねており、それなりの脚本と映像ができるものと思ったが、内容及び映画としての出来映えにはいささか疑問を覚える。
 内容面での課題としては、主題のブレが気になる。本作は、南京事件の真実を探るという大目的の上で、第一部でA級戦犯を主題に選んだようだ。特にA級戦 犯の潔さと精算への決意の美を描こうとしている点で評価できるのだが、前半部分で記録映画の映像等を多用して南京事件についても触れ、ダブルテーマになっ てしまっている。精神的な心情推移描写とドキュメンタリーでは余りに視聴者側の意識が異なるので、とても見にくいし、内容を理解するには不適切と言わざる を得ない。やはり、本作ではA級戦犯部分だけに焦点を絞り、似たようなシーンは割愛してメリハリをつけるなどして、半分程度の長さに仕立て上げるべきだっ たのではないか。その方が理解度は高かったと思われる。
 また、本作ではA級戦犯の戦犯容疑内容についてほとんど言及されることがなかったのも疑問だ。極東軍事裁判が戦勝国による一方的裁判であることは、「巣鴨の母(1952 大映)」などで既に古くから問題視されてきた題材である。これを今一度諸外国に知らしめ、公平性を理解して貰うためには、それを 理路整然と証明していく過程が必要ではなかったろうか。本作ではA級戦犯のストイックな精神面ばかりが強調され、論理性という部分では外国人に逆効果を与えてしまうのではないかという懸念 さえ持った。特に、ラストシーンで被告側弁護人B・ブレークニー弁護士の反対弁論映像が出てきたが、「原爆を投下した者がいる。この投下を計画し、その実行を命じ、これを黙認したものがいる。その者達が裁いているのだ。彼らも殺人者ではないか。」 というフレーズこそ冒頭で使うべき素材ではなかったろうか。1919年のパリ講和会議における日本による人種差別撤廃決議案のシーンもしかりである。
 南京事件に関する描写の中では「南京 戦線後方記録映画(1938 東宝)」からの流用映像が用いられている。貴重なフィルムであり、この映像からの検証も重要ではあるが、どうせやるならもっと突っ込んで検証して欲しかったところ。私のヘッポコレビュー程度の視点じゃあ物足りない(笑)。

 映画としての完成度という面では、まず映画の長さが致命的だろう。描かれている内容に比して、余りに長い。同じようなシーンの繰り返し、長すぎる間の取り方など、見ている側の集中力が切れてしまい、映像に視聴者の心をつなぎ止めることができない。内容云々以前 に、視聴者の人間心理をまるで無視してしまっているのだ。一人でも多くの日本人と外国人にも見て欲しい映画にするならば、気軽に見て貰えるような作り込みにしなければならないだろ う。今からでも遅くないので、短尺のディレクターズカット版に編集しなおして欲しいところだ。
 また、本作では難解な「能」表現を織り込んでいる。確かに日本人の精神性を描く手法としては「あり」なのだが、それが決して成功したとは思えない。ま ず、日本人ですら能の精神性がわからなくなった現在、外国人に本作で用いられた能の死生感や「幽玄」「妙」が理解できるとは到底思えないのだ。能の解説が あるのならばともかく、処刑台の上に現れる能シテ方の存在や、無音や笛、小鼓の入り方などの「幽玄」「妙」が活かされているとは言い難い。そう言う意味で は、かなりの玄人好みの作品になってしまっており、そこまで行くなら能そのものに仕立てた方が良かったかも知れない。ちなみに能を有効に活かした映画としては「憂国(1965 東宝)」がある。
 あと余談だが、子供を使っちゃ駄目。使いたくなる気持ちはわからなくはないが、左翼映画や中国映画が多用する情に訴える手法であり、個人的にはタブーの域なのだ。

 正直言って商業映画としてはほとんど駄目出しレベルで、政治・社会的映画として微妙なところ。第二部の出来を期待して★2.5まで引き上げたが、焦らずしっかりと後世にも伝えられるような作品の製作を願いたい。

興奮度★★
沈痛度★★★★

爽快度★
感涙度★★

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(以下 あらすじ ネタバレ注意 反転でご覧下さい)

 昭和20年3月東京無差別空襲、8月広島、長崎原爆投下により数十万の民間人が虐殺された。その日から南京大虐殺30万人の嘘が準備され始めた。
 昭和23年11月23日、極東国際軍事裁判により、土肥原賢ニ、広田弘毅、板垣征四郎、木村兵太郎、東条英機、武藤章、松井石根の7名がA級戦犯として絞首刑を宣告された。
 同12月21日午前9時、武藤と松井を皮切 りに所長からマッカーサー元帥による刑の執行通告がなされる。刑の執行は23日午前0時1分とされた。松井らは皆国民の代表として死することを潔く受入 れ、仏のお導きと達観の境地に達するのだった。家族等への遺書をしたためる各人の中で、広田だけは一切の書き物を遺さなかった。広田の妻はすでに自決して いたのだった。教誨師の花山信勝は各人と面会を続ける。
 東條は、2日前の通告に感謝しながら、立派 に日本人として死ぬことを決意する。松井は長く生きすぎたとしながら、南京で部下が起こした事件について責任を取る覚悟だ。松井は中国戦線で命を落とした 日本人や中国人のために、両国の土で熱海に興亜観音を設立していた。広田は亡き妻の姿を見ながら、回りに累が及ばぬように沈黙を続ける。各人とも仏と一体 となり、国の再建の礎になることを望むのだった。
 いよいよ最後の夕食となり、花山との最後の 聴聞が行われる。午後11時26分、松井、武藤、東條、土肥原の4名が房から出され、焼香、署名のうえ、花山から葡萄酒とお菓子を渡される。そして別れの 水杯をかわし天皇陛下万歳を三唱する。0時1分、1回目の絞首刑が執行される。続いて残りの3名も同様に花山と最後の別れをして処刑される。 

(2009/2/24)