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かぽんの戦争映画
一方的評論
 
「ストップ・ロス/戦火の逃亡者  評価★★★ 兵役延長を拒否するイラク戦争帰還兵
STOP-LOSS
2008
  アメリカ 監督:キンバリー・ピアース
出演者:ライアン・フィリップ、アビー・コーニッシュ、ジョセフ・ゴードン・レヴィット、チャニング・テイタムほか
112分 カラー 

 
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 最近とみに増えているイラク戦争を題材にした映画の一つ。帰還者の苦悩や戦争後遺症を主題にするオーソドックスな作品が多い中、本作品は「ストップ・ロ ス」、つまり大統領令による強制的な兵役延長に焦点をあてた異色作となっている。
 前半部は、他作品と同様にイラク戦で精神的打撃を受けた分隊長とその仲間が、英雄として勲章を得ながらも、なかなか元の世界に馴染むことが出来ず、姿の ない戦争後遺症と戦っていく姿が描かれている。後半になると、除隊するつもりがストップ・ロスをかけられてしまった二等軍曹が、兵役拒否(脱走兵)を試み る様子が描かれる。
 そこにベトナム戦、イラク戦に共通する、戦争の意義、戦死者の存在、戦友への義理などが深く関わってくる。何故、主人公が英雄として勲章を得るほどの活 躍を見せながらも除隊したいのか。ストップ・ロスをかけられ、犯罪者となることを覚悟してまで兵役拒否を望むのか。そして、未だ戦場にいる戦友を見捨て て、自分だけが自由になることができるのか。結局はほとんどのアメリカ軍物映画において回帰する結論に達するのだが、アメリカの持つ矛盾と、アメリカ人の 持つ正義感のせめぎ合いがそこにはある。人は行動するのに大義や理屈を求める。だが、正義や紙に書いたルールだけに縛られるわけではない。矛盾した行動に 再び大義やルールを探す旅を続けなければならないのだ。兵士の気持ちは兵士になった者にしかわからないという。死を介在とした友情には、正義も悪もないの だということを痛感させられる。

 全般にストーリー性はしっかりとしており、映画としての見応えはそこそこある。エピソードの量も丁度良く、登場人物それぞれの性格付けもしっかりしてお り、メリハリの利いた流れが好感。ただ、淡々とした心理描写はやや浅めで、精神的苦悩や葛藤シーンでの深みに欠けるのが残念。特に、要所要所でのエピソー ドのきっかけとなるべき心理描写が甘いために、転機の理由がわかりにくいので、ストーリーに入れ込みにくいのが欠点。実は、DVDのおまけで未公開カット シーンが収録されているが、それを見て納得できることが多かった。主人公二人の友情度合い、主人公親子の絆の強さ、何故舞台がテキサスなのか、など多少長 くなってもある程度盛り込んでおいてもらったら良い作品になっただろうと思われる。やや蛇足的な逃亡ドライブシーンをカットしてでも、上記のエピソードは 入れて欲しかった。監督の意志だったのかも知れないが、リアリティ重視というよりは、青春ロードムービー的な雰囲気が強かった。

 さて、本作の主人公らは、イラク駐留のシャドー3分隊所属のブランドン二等軍曹、スティーブ三等軍曹らテキサス州出身者となっている。軍服のパッチは良 くわからないが「110」「infantry」の文字が見えるので第28師団第2旅団第110歩兵連隊所属か。ストップ・ロスでは第一旅団に編入ともなっ ている。
 戦闘シーンはイラク人テロリストの追撃行動がメインとなっており、敵RPGや銃撃戦シーンはそこそこの出来。シーン自体の量は少なめなのでアクションと しては物足りない程度。途中で戦死者の紹介シーンが歌に乗せてあり、もしかもすると実話?ベースなのかもしれない。
 なお、ストップ・ロスの詳しいことは分からないが、映画中ではイラク戦争で8万人の兵士が受けたと出てくる。一度赴任すればあとは自由除隊かと思ってい たが、想像以上の強制的兵役延長があるようだ。一度行ったらもう結構という気持ちは十分理解できるが、またあと2年とか言われたら確かに気が狂いそうにな るかもしれない。

 ややストーリーに深みが足りないのと、分かりづらいシーンがあるが、レアな題材を取り上げた、全般に良くできた映画だと言える。影像もチープ感はないの で見る価値は十分にある。

興奮度★★★★
沈痛度★★★

爽快度★★
感涙度★★★

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(以下 あらすじ ネタバレ注意 反転でご覧下さい)

  2007年イラクのティクリート。帰還まであと28日に迫り、検問にあたっていたシャドー3分隊のブラ ンドン・L・キング二等軍曹の分隊は検問に銃撃を加えてきたテロリストを追って市街地に入る。しかし、そこではテロリストが待ち伏せており、激しい銃撃 戦・ロケット弾が飛び交う。ハービー・ランクフォード、ブリーチャー・コルソンは銃弾を受けて戦死。リコ・ロドリゲスはロケット弾をかばって負傷する。ブ ランドンの制止にも関わらず親友のスティーブ・シュライバー三等軍曹が家の中に突入し、足を撃たれて孤立してしまう。ブランドンはやむなく助けに入り、敵 を掃討するが、謝って民間人の親子も殺してしまう。

 帰還したブランドンらは地元のテキサス州ブラゾスで帰還パーティに出迎えられ、負傷章、名誉勲章、青銅星章を授与される。スティーブとブランドンは除隊 するつもりでおり、スティーブはミッシェルと結婚するつもりでいる。しかし、戦争後遺症でスティーブはミッシェルを殴ってしまう。また、トミーは妻ジー ニーに逃げられ、酒に溺れるようになる。
 ブランドンは除隊するつもりだったが、ブート中佐により「ストップ・ロス」となり第一旅団編入として兵役延長を告げられる。これに怒ったブランドンは脱 走を決意し、ワシントンの上院議員に相談することにする。その逃亡にミッシェルが一緒に行動することとなる。一方、トミーは酒で問題を起こし除隊寸前に なったうえ、元妻のジーニーに接近禁止令が出される。スティーブはトミーを救うためブランドンに戻ってくるよう頼む。
 ブランドンは移動途中で三人組にからまれるが、その際イラク人に見えてきて瀕死の重傷を負わせてしまう。また、同じく脱走兵の家族と会うが、社会保障も 得られず、カナダに越境する計画であることを聞かされる。

 スティーブはブート中佐の口車に乗せられ、狙撃兵として再入隊を決意する。ミッシェルはもうこれ以上待てないとして別れを告げる。
 ブランドンは上院議員と面会を求めるが、上院議員は脱走兵に会うわけにもいかず断られる。仕方なく、海外に逃亡することを決意し、1000ドルでメキシ コへ逃げるため、逃がし屋のカールソンに連絡を取る。片道で二度と戻ることは出来ないのだと強く言われ、ブランドンは最後に家族と別れをしに戻る。父親は ブランドンとのドライブイン経営を夢見ていたが、母親は会えないことよりも生きていることを尊重し、ブランドンの選択を受け入れる。スティーブは自分を見 捨てるのかと殴り合いとなる。一方、トミーは全てに絶望し、牧場で自殺を図る。

 メキシコ国境。ブランドンは、やはり仲間を裏切ることはできないと、軍の再入隊に応じるのだった。


(2008/11/17)