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かぽんの戦争映画
一方的評論
 
「エンド・オブ・ウォー 評価★★ ポーランド侵攻のソヴィエト軍 の闇に葬られた策謀
BROTHERSWAR
2009 アメリカ 監督:ジェリー・ブテイン
出演者: ティノ・ストラックマン、マイケル・ベリーマン、オリヴィエ・グラナー、ヘイリー・カーほか
100分
 カラー 
 
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 第二次世界大戦欧州戦線終末期の1945年春、ソヴィエト軍のベルリン侵攻前夜のポーランド戦線を舞台にした、サスペンス調戦争ドラマ。主人公はドイツ 軍大尉で、ソヴィエト軍の観戦武官として駐在するイギリス軍将校とともに、ソヴィエトによる策謀を暴いていこうとするのだ。
 実際にソヴィエト軍は本来相いれない米英と連合軍として戦ったわけだが、スターリンの野望と欺瞞に米英の連合軍は相当手を焼いたことが知られている。だ が、共にドイツと戦うという名目のため、様々なことが黙認され、闇に葬り去られている。このことは、戦後にポーランド、チェコ属国化、東西ドイツ二分とい う形であらわれている。

 上記のように内容的にはタブーとされている面白い題材を扱っているのだが、残念ながら映画作品としてはB級もの。音楽だけは壮大で情緒あふれるものが使 用されているが、ストーリー、映像ともにチープさが目立ち、音楽が浮きまくっている。
 映像はハンディカメラを多用した揺れ動く戦闘シーンが特徴的だが、ハンディカメラの使用タイミングやぶつ切りの編集が目障りで、素人臭さが強い。また、 航空機類や爆発シーンはCGも用いているが、これまた上手ではない。
 何と言ってもストーリーと台詞がダメダメ。謎解きサスペンス風の映画にしようとする意図を感じるのだが、随所に設定される意味深なシチュエーションと台 詞がほとんど意味がない。あれもこれもエピソードを盛り込もうとしすぎて、無意味な会話と前振りが空回りし、その結果重要なシーンの重みが薄れてしまって いる。主題になるべきソヴィエト軍の策謀も、ポーランドの永久占領工作という極めて重いテーマでありながら、内容や背景をしっかりと描いていないので、大 した計画ではないように感じてしまう。描き方によっては重みのある良作になりえたかもしれない。
 設定もかなり安直。都合のいい時だけ戦車が出てくるし、ソヴィエト陣地からいとも簡単にドイツ軍陣地に戻ってこれたりする。人物設定もそれぞれとってつ けたようで、性格付けがほとんどないので重みがない。主人公のドイツ軍大尉も何故かゲシュタポに追われるのだが、その理由がストーリーの核になるのかと思 いきや、結局何の意味もない。また、原題のBROTHERS WARとあるように、主人公の兄弟?のような人物も登場するが、兄弟関係がテーマになることもない。終始こんな調子なので、何を言いたいのか、何が主題に なっているのかがブレまくっている。当然エンディングも深みを感じることなくあっけない。

 兵器類はCGも多く用いられているが、ドイツ軍側ではへッツァー、ソヴィエト軍側ではT-34戦車風の実車が登場している。何かの改造かもしれないがそ こ だけはまとも。兵士エキストラは動きが稚拙で、素人リエナクターによる演技のような印象。軍装はそこそこきちんとしているようだが、全般に低予算映画の域 を出ないだろう。なお、会話は全て英語。

 本作のようなテーマを描いた作品は少ないだけに、全体の流れとしてはそこそこ興味深いものがあったが、全般としてはとにかく中途半端感にあふれていた。 お手軽に 作ったという印象はぬぐえず、やはりシナリオと映像編集は重要なのだと改めて感じる作品であった。

 

興奮度★★
沈痛度★★

爽快度★★
感涙度★

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(以下 あらすじ ネタバレ注意 反転でご覧下さい)

 1945年春、ポーランド、ドイツ国境。ドイツ軍はソヴィエト軍の侵攻を受 け、壊滅状態だった。抵抗部隊の指揮官ミューラー大尉は手りゅう弾で敵戦車を撃破しながらなんとか抵抗を続ける。大尉は納屋に潜む狙撃兵を始末し、フリー ドリヒとともに森の中でソヴィエト兵に追撃される。危機一髪のところを友軍戦車に救われる。また砲兵陣地ではソヴィエト兵の襲撃におびえる若い砲兵エミー ルを励ますのだった。そんな中、ゲシュタポがミューラー大尉を探しにやってくる。仲間はミューラーの所在を知らないとうそぶく。
 ソヴィエト軍陣地では指揮官ペトロフ大佐 (少佐?)のもとにイギリス軍の観戦武官ピアマン少佐がやってくる。ペトロフ大佐は兵セルギイに命じてイワノフ中尉のところに送らせる。ペトロフ大佐は何 やら画策しており、ピアマン少佐を厄介扱いしていた。何か変な気配を感じたピアマン少佐はイワノフ中尉から逃れ、トラックに積まれたポーランド民間人の後 を追う。ポーランド民間人はトラックを下ろされ、後から来たペトロフ大佐によって銃殺される。これを目撃したピアマン少佐はソヴィエトがポーランドを占領 支配しようとしていることに気づく。
 一方、ミューラー大尉も偵察中にポーランド 人虐殺を目撃。ソヴィエト軍の追跡を受け、フリードリヒが戦死。そしてゲシュタポがミューラー大尉を匿ったとして兵を射殺している所に遭遇する。だが、そ こにソヴィエト兵が追い付き、ミューラー大尉らは捕虜になってしまう。
 ソヴィエト軍の監獄には他のドイツ兵ととも に捕えられたピアマン少佐もいた。ドイツ兵は次々に処刑されていくが、ミューラー大尉だけは何故ゲシュタポに追われていたかに興味を持たれ処刑されずにい た。ミューラー大尉は看守を倒して逃げようとするが、すぐに捕まる。
 いよいよソヴィエトの陰謀の準備が整い、モ スクワから実行の命令が出る。ミューラー大尉とピアマン少佐は移送されるが、その途中で脱走。同盟国にソヴィエトの計画がばれたら世界はドイツの味方にな る、とペトロフ大佐は追撃し、脱走されたイワノフ中尉は処刑される。ミューラー大尉らは協力して追手を撃破。ついにペトロフ大佐も倒す。
 ミューラー大尉がゲシュタポに追われていた 理由はメイソンだったからと語り、ピアマン少佐からソヴィエトの陰謀を聞いたミューラー大尉はなんとか司令部に伝えることができるよう協力することに。
 ドイツ軍側へ逃亡する途中、ソヴィエト兵に レイプされそうになっているポーランド人女性アナを助ける。3人はトラックでドイツ軍陣地に到達する。看護師のアナは負傷兵を見捨てられず治療を始める。 そこにはあの砲兵エミールが瀕死の状態でおりし、ミューラー大尉の目の前で息絶える。ミューラー大尉は戦争が終わりであることを悟り、部下の軍曹らに家に 帰るよう命じる。さらに軍医のいる陣地に到達したところ、ドイツSS将校が脱走兵を処刑し始める。それを制止したミューラー大尉も逮捕しようとするが、 ミューラー大尉は逆にSS将校を殴って阻止する。
 ミューラー大尉らはさらに西へ移動し、途中 で裏切り者として処刑されたドイツ兵や集団自決?したドイツ兵の遺体に出会う。そしてついにドイツ軍と連合軍(アメリカ軍)が対峙する前線に到達し、ピア マン少佐はアメリカ軍に投降して正体を明かすが、その時木陰から狙撃されてしまう。それは生き延びていたペトロフ大佐だった。同じ連合国軍として手出しで きないアメリカ軍将校は舌打ちするばかりだ。
 連合国軍司令部に連行されたミューラー大尉 はソヴィエトの陰謀を全て告白する。だが、連合国軍指揮官は、まだ日本軍との対決が残っているとしてソヴィエトとの対立を避け、その報告を闇に葬るのだっ た。
 戦後生き延びたミューラー大尉(老人)は激 戦の地でアナが持っていた写真とピアマン少佐の懐中時計を静かに置くのだった。

(2009/07/21)