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かぽんの戦争映画
一方的評論
 
イングロリアスバスターズ  評価★★☆ ナチスに復讐する米軍部隊とユダヤ人女性
INGLOURIOUS BASTERDS
2009
  アメリカ 監督:クエンティン・タランティーノ
出演者:ブラッド・ピット、クリストフ・ヴァルツ、メラニー・ロラ ン、ダイアン・クルーガー、ティル・シュヴァイガー ほか
152分 カラー
 
 
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 第二次世界大戦時のドイツナチ支配下のフランスを舞台に、ナチのユダヤ人狩りに抵抗し、ユダヤ系アメリカ人特殊部隊とユダヤ系フランス人たちの復讐劇を 描いたアクションブラックコメディ。監督は奇才と呼ばれるタランティーノで、イタリアマカロニコンバット「地獄のバスターズ(1976)」のリメイクとい う形で製作スタートされたそうだ。マカロニB級映画を、現代手法でリメイクするとどうなるのかというのが一つの見所でもある。

 正直言って、視聴中及び見終わった後の失望感と脱力感は否めなかった(笑)。内容的には「地獄のバスターズ」とかなりの相違点があり、殴り込み特殊部隊 という設定以外はリメイクとは言えず、内容はもちろん全体の雰囲気も作風も全くの別物と言って良いだろう。マカロニB級映画感はほとんどなし。予告編や評 論家コメントから期待するハチャメチャさや斬新さも思ったほど痛快でなく、むしろ随所に見られるグロさばかりが浮きだった印象。
 「地獄のバスターズ」のように、もうどうでも好きにしてという一方通行的展開ならば、諦め感に似た満足も得られるのだが(笑)、本作の場合ブラックコメ ディとシリアスドラマが混在する形で、幾度も現実に引き戻されるなど、虚構と現実を行ったり来たりさせられた感じがする。そもそも、ヒトラーやゲッベルス を始めナチの結末は全くのフィクションであり、登場人物や設定もしかり。あり得ない出来事や展開に一喜一憂する楽しみに集中したいところなのだが、時折戻 されるシリアスな現実感に脱力疲弊するのだ。それは本作がユダヤ人のナチへの復讐という悲愴感漂う設定を採用したとともに、それをリアルに描きすぎてし まったことに起因しているのだと思う。もちろん、こうした命題をリアルに描くこと自体は悪くないのだが、ブラックなグロさや暴力が登場するインパクトと突 飛さは、シリアスストーリーばかりを強調する結果となり、ふと架空の話であることに我に帰ると一気に興ざめしてしまう。個人的には全体のバランスが崩れて いるような気がするし、特に歴史的背景も一応は重視したい戦争映画マニアとしては、譲れない一線を超えられている気が・・・(笑)。

 全体像はさておき、個別のシーンを見る限りは奇才ならではの奇抜な個性が際だっている。過去の作品のオマージュやニヤっとするようなユーモアがたっぷり と入っている。「ユダヤの熊」の登場シーンと音楽、ナチ殺しシュヴァイガー救出シーンなど、特に前半部にはコメディとして楽しめる要素が一杯だ。
 また、主演レイン中尉役のブラッド・ピットの癖のある豪傑ぶりは快演で、ヤクをやりながら低い声で指揮する姿は格好良いながらも笑える。他のユダヤ系隊 員らも実に個性的でコミカルな描写が楽しい。個人的にはナチ殺しのシュヴァイガーのB級映画的な渋さが好き。ちょっと早く死にすぎだけど・・・(笑)。ま た、ドイツ軍側のヒトラー、ゲッベルスも意外なほど人間味溢れる人物像になっているし、ドイツ軍人らも堅物さを残しつつ血の通った人間であることを実感さ せる。本作ではドイツナチの人物を一方的に悪く描くことはなく、逆にナチスハンターのアメリカ軍バスターズを残虐に描くなど、通常の勧善懲悪型設定とはま るで違うのが面白い。はてこの映画の主役は誰だっけと、いささか頭が混乱してくることもあるが、こういう描き方はタランティーノ作品ならでは楽しみ方とも 言えよう。このほか、英首相チャーチルが何気なく出ていたりするのも一興だ。
 ただ、残念なのは同じくナチへの復讐に燃えるユダヤ人女性ショシャナとドイツ人女優ハマーシュマルクのキャラクターで、余りに一般的すぎて面白みに欠け た。他のキャラクターが飛び抜けていただけに、もっとウイットに富んでいたりキレていた方が良かったかなあという印象。
 映像的には遠景、建物内部などかなり金のかかったセットを用いている様子。カメラワークも良く美しい映像は大変見やすい。マカロニB級映画の超チープな 映像やセットとは大きく一線を画する要素の一つでもある。
 一方音楽はマカロニ風(笑)。冒頭のシーンに流れる古くさい音楽(遙かなるアラモ)はいかにもという感じだし、エピソード毎に流れる音楽の使い方も遊ん でいるなという印象。ミスマッチな感じがなんとも爽快。
 戦闘シーンはないので登場する兵器類は中型軍用車両のほか、機関銃、拳銃のみ。軍装はちょっと綺麗すぎる印象もあるが、ドイツ国防軍、SS、アメリカ 軍、イギリス軍などそこそこしっかりしている。勲章類はとってつけたようにも見えるが、階級章類は一応合っている様子。ただ、ドイツ軍の英雄フレデリック がプレミア上映会で着ている白い礼装姿はちょっと違和感あり。

 個々の部分を見る限りは結構楽しめるし、タランティーノ流の意外性や突飛さが好きな人にはきっと高評価になるのだろう。だが、戦争系映画としての満足度 という点ではやっぱり・・・。ほとんど皆死んでしまうし(笑)、グロ映像が多すぎるし、何だか救いがない絶望感も感じてしまう。どうせハチャメチャにする ならストーリー性なんてまるで無視して欲しかったし、妙にきちんとオチを設定してきたあたりにちょっと失望したかも。でもやっぱり最大の失望は不用なグロ 映像か。グロ映像さえなければもっとすっきりと楽しめたような気がするが、タランティーノならやっぱりグロなのか(笑)。
 全般にB級マカロニコンバットを指向しつつも、B級になりきれなかったA級映画といったところか。
 関係ないけど、ドイツ兵がやっている人物あてゲーム楽しそう(笑)。

興奮度★★★★
沈痛度★★★

爽快度★★
感涙度★

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(以下 あらすじ ネタバレ注意 反転でご覧下さい)

第1章 その昔・・ナチ占領下のフランスで
 1941年、ドイツ軍に占領されたフランス の片田舎。ドイツ軍ハンス・ランダSS大佐らが一軒の酪農農家ラパディット家にやってくる。ランダ大佐は「ユダヤハンター」と称されるユダヤ人狩り指揮官 で、ミルクを飲みながら穏やかに調書を取りながらもラパディット家がユダヤ人一家を匿っていることを白状させる。ランダ大佐は部下に床下のユダヤ人を銃撃 させる。その中で唯一若い娘ショシャナだけが命からがら逃げ出すことが出来る。
第2章 名誉なき野郎ども
 ドイツ占領下のフランス国内に、インディア ンの血を引くアルド・レイン中尉率いるユダヤ系アメリカ人の特殊部隊「イングロリアス・バスターズ」が潜入する。彼らはナチの兵士を見つけては頭の皮を剥 いだり、バットで撲殺するなど残忍な殺し方でゲリラ活動を行っていく。ドイツ軍の中にバスターズに対する恐怖と噂が広がっていく。バスターズには「ユダヤ の熊」と呼ばれるバットで撲殺するドニー・ドノウィッツや元ドイツ軍兵士で将校13人を殺害し移送中にバスターズにスカウトされたナチ殺しのヒューゴ・ス ティグリッツの姿もあった。バスターズに降伏することを拒んだドイツ軍曹長がドノウィッツに撲殺されるのを目撃し、恐怖の余り味方を売った若い兵士は命を 助けられるが、ナチであることを止めないように額にはハーケンクロイツの印が刻み込まれた。ヒトラーはバスターズの活動に苛立ちを覚えるのだった。
第3章 パリにおけるドイツの宵
 1944年6月、ショシャナは名をミミュー と称して叔母夫婦の経営していた映画館を継いでいた。時勢柄ドイツ映画ばかりを上映しなければならなかったが、ある日若いドイツ兵士フレデリック・ツォ ラーに恋心を抱かれる。フレデリックは一兵卒だったが、SS将校らに敬意を称されるなど異常な人気ぶりだった。実は一人で300人の連合軍を撃退した戦争 の英雄であり、宣伝相ゲッベルスは彼を主演にした国策映画「国家の誇り」を製作しようとしていたのだ。ドイツ兵に嫌悪感を抱くミミューは、さらにフレデ リックから離れようとする。だが、フレデリックの画策でゲッベルスとの会食に強引に連れてこられる。そこで聞かされたのはフレデリックの発案で「国家の誇 り」プレミア上映会をミミューの映画館で開催する提案だった。ゲッベルスはフレデリックの説得に負けて了解する。上映会にはゲッベルス以下ナチの幹部が勢 揃いする予定であり、警備責任者にはランダ大佐が当たることに。そこでミミューは再びランダ大佐と再会することとなる。そして、ミミューは恋人で映写技師 の黒人マイセルと、上映会当日に映画館に火を放って皆殺しにしようと計画する。当時の映画フィルムは強度の可燃性で爆薬に相当する火力があったのだ。そし て反ナチの映画の撮影も開始する。
第4章 映画館作戦
 イギリス軍情報部のエド・フェネシュ将軍は 元映画評論家のアーチー・ヒコックス中尉を呼び出し、プレミア上映会で爆薬を仕掛けてナチ幹部を爆殺することを指示する。フランスでの手引き協力はバス ターズとスパイのドイツ人女優ブリジット・フォン・ハマーシュマルクが手伝うこととなっていた。ヒコックスらは近くの村の居酒屋ラ・ルイジアーヌでハマー シュマルクと落ち合うこととなっていたが、居酒屋は逃げ場のない地下であることに加え、ハマーシュマルクは子供が生まれて祝っているドイツ軍軍曹らと飲ん でいた。ヒコックス、スティグリッツら3人はSSの軍服に身を包んで乗り込み、ハマーシュマルクと打合せを行い始めるが、酔ったドイツ軍兵に絡まれてうま く行かない。怒ったヒコックス、スティグリッツは下士官を叱責して遠ざけようとするが、ヒコックスの訛りを気にした上官ヘルシュトロームSS少佐が現れ る。訛りは何とか誤魔化したものの、ヒコックスの3を数える手の形で少佐はヒコックスがドイツ人ではないことを見破る。机の下で銃を向け合う少佐とヒコッ クスらはついに銃撃戦へと展開し、ヘルシュトロームSS少佐らドイツ兵、ヒコックスらバスターズのメンバーも死亡する。生き残ったのは子供が生まれたばか りのドイツ兵と足を撃たれたハマーシュマルクのみ。レイン中尉はハマーシュマルクを救出に向かい、取引に応じたドイツ兵をハマーシュマルクは殺してしま う。状況を訝しがったレイン中尉はハマーシュマルクの傷をいたぶりながら情報を聞き出す。ハマーシュマルクはプレミア上映会にヒトラーも出席することを伝 え、レイン中尉は映画館を爆破する計画の実行を決意する。だが、ドイツ語のできる兵はもはやおらず、ハマーシュマルクも足を怪我している。ハマーシュマル クは山登りで怪我したことにし、3人のバスターズはイタリア人という設定で乗り込むことに。だが、居酒屋の検分に来たランダ大佐は、現場から片足の女性用 ハイヒールとハマーシュマルクの名の書かれたハンカチを拾っていた。
第5章 ジャイアントフェイスの逆襲
 プレミア上映会に足にギプスをはめたハマー シュマルク、レイン中尉、ドノウィッツ、オマーの姿があった。ハマーシュマルクがスパイと疑っているランダ大佐はレイン中尉らにも疑いを掛け、イタリア語 で話しかける。片言しかできないレイン中尉らは戸惑いながらも二人の部下ドノウィッツ、オマーは足に爆薬をつけて会場入りする。ランダ大佐はハマーシュマ ルクを個室に連れ出し、強引に居酒屋で拾ったハイヒールを履かせる。ぴったりサイズが合ったのを見て、ハマーシュマルクを絞殺し、レイン中尉を拘束する。 上映会が始まり、レイン中尉を連行したランダ大佐は意外な言葉を発する。ヒトラー以下の命は自分が握っており、戦犯容疑を晴らし協力者として地位や財産を 補償するようイギリス本国に求めたのだ。イギリスのフェネシュ将軍は取引に応じ、ランダ大佐は会場に潜入したバスターズの存在を黙殺した。映写室では映画 館に鍵を掛け火を着けようとするミミューのもとに、殺人鬼狂態の自分を見るに堪えなくなった主演フレデリックがやってくる。ミミューは計画を邪魔されたく ないが故にフレデリックを銃撃。だがフレデリックの反撃で自身も撃たれて死亡してしまう。一方、火を付けるために暗幕裏にやってきたマイセルは、映画がナ チ批判の映像に切り替わった瞬間に火を付ける。瞬く間に炎の海と化す会場。バスターズのドノウィッツ、オマーはヒトラーとゲッベルスの個室に乱入し銃殺す る。そして火の海と化した会場に向けて機関銃を乱射し、足下の爆薬が大爆発を起こすのだった。
 見事ヒトラー以下のナチ幹部が吹き飛んだ成 功を受け、ランダ大佐は部下の一人とともにレイン中尉らを捕虜として連れ連合軍側へ移動する。連合軍支配エリアに到達すると今度はレイン中尉がランダ大佐 らを捕虜として連行することとなっていたが、レイン中尉はドイツ兵の部下を射殺。さらにランダ大佐の額にハーケンクロイツを刻み込む。約束が違うというラ ンダ大佐に、レイン中尉はただ怒られるだけだと平然とするのだった。 

(2009/012/02)