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かぽんの戦争映画
一方的評論
 
マイウェイ 12,000キロの真実  評価★★ 日ソ独の軍服を着た日韓人
2012  韓国(東映配給) 監督カン・ジェギュ
出演者:オ ダギリジョー、チャン・ドンゴン、ファン・ビンビン、キム・イングォン、山本太郎ほ か
140分 カラー
 
 
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   日中戦争から第二次世界大戦まで、朝鮮、ソ連、ドイツを舞台に、マラソンを共通に出会い、時代に翻弄され、憎しみあい、友情を芽生えさせた日韓の青年を 描いたヒューマンドラマ。 日本、韓国、中国の俳優を共演させ、「実話から生まれた衝撃と感動の物語」というキャッチフレーズで上映された。激しい戦闘シーンを背景に、過酷な収容所 生活、脱走などを経て、憎しみが融和され友情を芽生えさせる、激動のストーリーが描かれる。
 監督のカン・ジェギュは戦争映画「ブラザーフッド」を手がけ、戦争映画や感動的なストーリーを描くのには定評がある。

 さて、事前予告での期待は高まる一方だったが、視聴したところ正直がっかりの作品であった。本作品の良い点一つと悪い点三つをあげてみる。
 まず、良い点だが、さすが韓国映画だけあって、戦闘シーンの激しさはさすが。火薬使用量はもとより、銃火器類、戦車にいたるまできちんと形作って撮影し ているのが良い。多くの箇所でCGも使用されているが、上出来の部類。また、なかなか日本では作れないようなエグイシーンも多く、このあたりは韓国映画の 真骨頂か。ただ、惜しむらくはノモンハン戦、ノルマンディー上陸戦での距離感で、敵戦車、敵艦船が異様に近く描かれてしまっている点。せっかくのレプリカ やCGを大きく見せたいのだろうが、戦場の空間を認識するには狭すぎた。

 悪い点の一つ目。日本人の描き方がひどすぎること。確かに日韓併合時には厳しくあたる日本人もいたことは事実だろうが、あまりに強調しすぎて、全ての日 本人が悪人であったかのような錯覚を抱く。レビューなどでは日韓公正に描かれたという記述も見られるが、全くそんなことはない。事実、映画館で見終わった 若い女性が「日本人が心底嫌いになった」と言っていたが、歴史を知らない人にとっては、最良の悪玉チョッパリの刷り込み映画となったであろう。まあ、この 点は日本人ならではの減点部分ではあるが、不快感を覚えたことは確かだ。

 二つ目は、戦史の検証が著しくいい加減なこと。近年の戦争映画は史実に忠実に作り、慎重に歴史検証を行うのが主流だが、本作は実話をベースにと言いなが ら、実にいい加減で、加えて、戦闘シーンでの不可思議さも多い。
 ノモンハン戦でのソ連軍戦車への肉弾突撃強制は何に基づいたものなのか。また、主人公長谷川辰雄(オダギリ)は若干20歳そこそこなのに、いきなり連隊 長級大佐で登場。入隊数年で大佐になるとは唖然とした。
 ソ連ベルミの収容所シーンも、軍の階級剥奪で韓国人がリーダー就任しているが、抑留収容所の史実と比較して違和感があるが、こうした史実はあったのかど うか。
 ジュコーフスキーでの独ソ戦は、「スター リングラード(2000 米・独・英・愛)」「捕虜大隊 シュトラフバット(2004 露)」でもお馴染みの退却兵皆殺しシーンだが、それはいいとして、生き残った主人公二人がドイツ軍軍服に着替えるシーンで、あの激戦後戦場に誰もいなく なっているのは不自然。あまりにご都合主義の映像はリアリティを著しく阻害した。
 ノルマンディー上陸戦では空爆のあと艦砲射撃までは良いとして、戦場離脱した主人公らが落下傘降下してきた空挺部隊に囲まれるシーンは、時系列や部隊配 置から見てありえない。いくらヒューマンドラマ主体でフィクション映画だとはいえ、苦難や奇跡を乗り越えてきた感動を描く以上、多少はリアリティを持たせ て欲しかったところだ。このあたりで、この監督は史実などまるで眼中にないのだということに気付いた。言い換えれば捏造したって関係ないということだ。

 最後に、感動映画なのにまるで感動できなかったこと。オダギリジョーもチャン・ドンゴンも、悪役曹長役の山本太郎も(笑)、役者としては良い演技をして いたと思う。演技力だけから言えば、十分に感動できたかもしれないが、いかんせん、心情変化が手抜きだった。オダギリが鬼指揮官に変貌する理由、捕虜の辱 めから生への執着に変わる時、チャン・ドンゴンに友情を感じる瞬間など、映画のターニングポイントがいともさらっと流されてしまっており、溜めがないので 感動に結びつかないのだ。感情の変化にはそれなりの理由やきっかけがあるのであって、その葛藤や感情を描いてこそ視聴者は理解できるのに。とにかく浅い。 浅いのだ。
 狂気で腰抜けの日本人指揮官と、男気あふれた人情派の韓国人という対極ばかりが強調され、ラストシーンに融合昇華がみられるものの、既に時遅し。すっか り冷め切った心には何も響いてこなかった。

 ロケ地はノモンハンなどが韓国、ノルマンディーはラトビア。兵器類ではソ連軍のBT戦車風、I-16戦闘機、ドイツ軍ではV号戦車風のものが登場する。戦 車は実寸大模型、戦闘機はCGであろうが、まあまあ良くできている。

 全体から見て、映像やスケール感はそれなりの評価が出来るが、ストーリーや設定はかなり駄作。しかも感動できないとなると、やはり高い評価はできない作 品であった。

興奮度★★★
沈痛度★★★

爽快度★
感涙度★
 

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(以下 あらすじ ネタバレ注意 反転でご覧下さい)
 
 1928年の京城(ソウル)に日本軍憲兵隊司令官である 祖父を訪ねて、医者である父親とともに、少年長谷川辰雄がやってくる。車のそばを駆けていったのは祖父の使用人一家の息子キム・ジュンシクで、会ったその 場から駆けっこの速さを競いあう。
 高校生になった二人は朝鮮でも常に一位、二位を争うマラソンランナーに育った。しかし、辰雄の優勝パーティの席上で、朝鮮人テロリストの郵便爆弾で祖父 が爆死してしまう。辰雄はジュンシク一家が殺したと詰め寄る。憲兵隊はジュンシクの父を連行し、ジュンシクと妹は家を追放される。
 オリンピックが近づいた年、マラソン大会は日本人のみで行われようとしていた。車夫をしていたジュンシクは、かつてのオリンピック金メダリストソン・ギ ジョンの計らいで大会に参加できることに。辰雄はジュンシクに憎悪の対抗心を燃やし、ジュンシクもまた辰雄に日本人への恨みを抱いていた。大会は僅差で ジュンシクが優勝する。しかし、進路妨害をしたといういわれのない理由でジュンシクは失格に。怒ったジュンシクの友人イ・ジョンテらは暴動を起こし、逮捕 され、さらに日本軍徴用兵として中国北部に送られる。
 1938年日本軍はソ連軍とノモンハンで戦っていた。しかし、ソ連軍戦車の猛攻に日本軍は後退を余儀なくされる。さらに、日本軍に憎悪する中国人女性 シュライの狙撃により、日本兵のみが射殺される。ジュンシクはシュライを捕らえて連行するが、シュライに同情もするのだった。そこに長谷川辰雄が大佐とし て赴任し、前任の大佐は割腹を強要される。辰雄は朝鮮人にも厳しく当たり、対ソ連軍戦車に対し、肉弾突撃を命じる。その中にジュンシクら朝鮮人も含まれ、 ジュンシクは作戦に異議を唱え、シュライのもとに収監される。肉弾突撃の前日、朝鮮人の仲間等が脱走を計画し、ジュンシク、シュライは逃げることに。舟で 渡ろうとするが、ジュンシクは友人のジョンテを置いてきたのと、ソ連軍の奇襲を発見し、日本軍陣地に駆け戻る。途中でソ連軍戦闘機の攻撃を受け、戻ってき たシュライの狙撃で戦闘機を撃破するもシュライは死んでしまう。
 ジュンシクは辰雄ら日本軍の進撃を止めようとするも、時遅く、辰雄らはソ連軍戦車の猛攻撃にさらされる。多くの兵士に爆弾攻撃を命じ、劣勢となって退却 する兵士を辰雄は射殺する。そんな姿を見てジュンシクは辰雄に退却するよう説得するが、辰雄は聞かず、ソ連軍の砲撃によって二人とも意識を失う。
 二人はソ連軍の列車に乗せられ



(2012/1/23)