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かぽんの戦争映画
一方的評論
 
「史上最大の戦場 洛東江大決戦 (新ホワイト・バッジ 地獄の戦場)(洛東江は流れるの か) 評価★★★ 北朝鮮戦車対肉弾攻撃
Does the  Nak-Dong River Flow?
1976 韓国 監督:イム・クォンテク
出演:チン・ユヨン、ユ・ヨングン、イ・イェミン、 チャン・ヒョクほか  
95分 カラー 
 
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 朝鮮戦争におけるアメリカ・韓国軍最大の危機、洛東江の攻防を描いた、アクション系ヒューマンドラマ。イム・クォンテク監督の、まさに韓国戦争映画の真 骨頂炸裂といった典型例で、異常なほどのシリアスさとヒステリックなまでの悲壮さを前面に出しながら、3 枚目役の役者によるおちゃらけさを随所に散りばめている作品である。
 この作品の原題は「洛東江は流れるのか?」だが、ビデオ発売の邦題は「新ホワイト・バッジ 地獄の戦場」となっている。多分1973年に製作 された「ホワイト・バッジ 史上最大の作戦」 を意識してつけられた名前だと思われる。同じ監督の作品ということで、続編の位置づけに据えたのかもしれない。DVD化されたタイトルで「史上最大の戦場   洛東江大決戦」となった。1976年の韓国演劇映画芸術賞/監督賞,助演男優賞,新人賞 を獲得している。結構過激な戦闘シーンもあるので、18歳未満閲覧不可だったそうな。
 
 ストーリーは北朝鮮軍がソウルを攻め落とし、洛東江まで攻め込んできた段階を描いている。共産党支配下になったソウルにいる恋人に薬を渡したいがため に、韓国軍補充兵に志願した少年が主人公だが、主人公は未成年の17歳で、プサンにいたところで入隊を志願したようだ。
 洛東江の攻防は熾烈なもので、韓国最後の都市プサンを巡る総力戦だった。北朝鮮軍も補給線が伸び切っており、最後の総力をかけての戦いだっただけに、壮 烈な戦いが繰り広げられた。本作は洛東江周辺での戦いを描いているのだが、残念ながらその雰囲気はあまり出ていない。むしろ北朝鮮軍戦車に対する肉弾特攻 攻撃ばかり描かれているので、全体像というものが把握できないのがもったいない。

 全般に危機感迫る状況で、悲壮感あふれる場面がシリアスに描かれてはいるのだが、いつものとおり(笑)、前半部分はお馴染の3枚目役者演じる上士と、情 けなさ爆裂の主人公チャン二等兵らが織りなすドタバタ劇が展開する。危機迫る北朝鮮軍との 戦闘シーンと、チャン二等兵らの大ボケぶりや泣き顔のミスマッチには、思い切りモチベーションが下がる(笑)。正直この映画は大失敗なのではないのかと、 疑念が浮かぶのだが、後半になると徐々にシリアス度が増し、緊迫した戦争映画へと変貌していく。チャン二等兵がいっぱしの兵士として肉弾戦に突入していく シーンに至っては、不覚にも涙腺が緩くなった。
 こうしたイム監督の手法は一種独特のものがあり、映画としていかがなものかとは思うのだが、映画の盛り上がりという点では、前半の主人公の駄 目駄目ぶりが伏線となって、後半の悲壮感に昇華するのだ。17歳という少年兵が、せっかく上官の計らいで生き延びられたにも関わらず、爆弾を抱いて突入せ ざる をえない程の心理にさせる、戦場の不条理さと悲壮さが際立って心に突き刺さる。正直、赤面するほどクサさ爆裂ではあるが、近年の韓国映画でこうした手法が 見られなくなってきたのはある意味残念なことだ(笑)。
 このほか残念なのは、感動的なチャン二等兵の突入シーンで終わらせなかったこと。感動のクライマックスで終わらずに、その後もダラダラと続けてしまった ため、作品 としてはしまりがなくなってしまった。政治的思惑なのか、北朝鮮軍捕虜の投降シーンをどうしても入れたかったのだろうか。

 ところで、前半のドタバタ劇を彩る上士(曹長相当)役だが、ちょっとお下品で、それでいて勇気があるという役柄は何なのだろう。 映画の強弱をつけるためには必要と言うことなのか、それとも、韓国では必ずこういうタイプの人間がいるのだろうか。個人的には、韓国語でのおふざけシーン はひょうきんなので結構好きなのだが、どうせなら、「デブゴン」のサム・ハン・キンポーのように 全編おちゃらけで通してしまっても面白いかもしれない。
 また、主人公のチャン二等兵(貧相な大鶴義丹似)は実にイヤなタイプの人間だ(笑)。泣いたり騒いだり、大声出したりと、某国特有の気質の荒さが出てい て結構不愉快。だが、韓国映画としてはこれも必然なのだと納得させられた。ラストにチャン二等兵が肉弾戦に挑む場面だが、日本人ならじっくりと内に怒りを 秘めて突入するのだろうが、韓国人は感 情にまかせて突入する。国による戦い方、考え方の違いを感じることができるのは非常に興味深い。
 女性役では、北朝鮮側の女スパイ、コ・ヨンソル同志(トンジ)が登場するが、この役は果たして必要だったのかどうかは疑問。妙に無駄な色っぽさを出して いるのだが、ストーリーの流れ的にも 今ひとつだった。

 映画に登場する兵器では、北朝鮮軍のT−34戦車役として、 M47パットン戦車と思われるものが5、6両登場する。朝鮮戦争後に米軍が韓国国内に多数残していったそうなので、韓国陸軍から借用 したのだろうか。
 最後に、苦言をひとつ。最後のエピローグシーンは多分仁川上陸作戦をイメージした映像だと思うが、先陣で上陸しているのは韓国軍のようだ。実際は米 軍の功績大なわけなのだから、あんまり史実をねじまげるのはいけないね。この映画に限らないけど。


興奮度★★
沈痛度★★★
爽快度★★
感涙度★★★★


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(以下 あらすじ ネタバレ注意 反転でご覧下さい)

 1950年、北朝鮮軍と韓国軍・連合軍は洛 東江で対峙しており、洛東江渡河作 戦が思うように行かない北朝鮮軍が、ついにコン大佐率いる精鋭戦車隊を用いて、洛東江渡河、ユアク山攻略、そしてテグ(大邱)占領を図る。テグを占領すれ ば、韓国 最後の砦釜山も落ちるからだ。
 一方、韓国軍守備隊は北朝鮮軍の戦車と人民 兵に圧倒され、苦しい戦いを強いられる。次から次へと前線へ補充兵が送られてくるが、その中に徴兵年齢に満た ないが年齢詐称で入隊してきた17歳のチョン二等兵がいた。チョンは肺病を病む恋人がソウルにおり、彼女に薬を渡したいが故に前線に志願してきたのだっ た。小隊長チャ中尉(准尉?)の計らいで除隊を勧められるが、チョンは言うことを聞かずに前線に出てしまう。小隊長らは敵戦車を決死の作戦で撃破する特攻 隊となっ て出撃するが、途中で一人さまようチョンを拾う。特攻隊は敵戦車を対戦車地雷やTNT爆弾で待ち伏せ、最後は爆弾を抱いて突入する決死の覚悟をする。小隊 長はここでも チョンを生かすため、捕虜の後送任務につかせる。
 待ち伏せは、紛れ込んだ北朝鮮の女スパイの 密告によってバレてしまう。特攻隊は奮戦するも次々に屍れていく。それを見たチョン二等兵は、護送する捕虜に 「なんで、こんな戦争を始めたのだ。あなたがた大人ならわかるだろう。僕のような子どもが何故戦場にいるのだ。」と絶叫し、捕虜に「韓国軍司令部へ行け」 と命じて自ら爆弾を抱えて敵戦車に体当たりするのだった。

(2004/08/26/ 2010/5/29加筆)