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かぽんの戦争映画
一方的評論
 
「ワルキューレ  評価★★★☆ トム・クルーズのシュタウフェンベルグ大佐役
VALKYRIE
2008
  アメリカ・ドイツ 監督:ブライアン・シンガー
出演者:トム・クルーズ、ケネス・ブラナー、ビル・ナイ ほか
120分 カラー 

 
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 第二次世界大戦時のドイツを牛耳った独裁者アドルフ・ヒトラー。そのヒトラー暗殺計画は幾度もあったが、その中で最も有名で悲劇的な暗殺未遂事件が 1944年7月20日の「ワルキューレ作戦」であった。本作は首謀者の一人クラウス・フォン・シュタウフェンベルグ大佐を主人公に、ワルキューレ作戦を描 いたサスペンス調ヒューマンドラマである。
 トム・クルーズを主演に迎え、アメリカ・ドイツ合作で制作されたものだが、制作当初はトム・クルーズの宗教(カルト集団)的問題からドイツ側の撮影拒否 もあった。監督のブライアン・シンガーは中堅どころの監督で、実話ベースの作品は初めてだそうだ。ロケはドイツ国内で行い、制作にあたりシュタウフェンベ ルグ大佐の遺族らへのリサーチなどを 行ったということだ。

 ワルキューレ作戦とは、もともとドイツ国内の反乱鎮圧のために戒厳下で予備軍が全てを掌握するという計画名のことだが、ヒトラーに反抗心を抱くドイツ国 内の政治家や軍人からなる一派「黒いオーケストラ」は、ヒトラー暗殺のうえでこのワルキューレ作戦を利用して政府転覆を図ろうとしたのだ。本作の主役シュ タウフェンベ ルグ大佐は、1944年7月20日にドイツ郊外の森に設置された総統大本営「狼の巣」に爆弾を仕掛けてヒトラー暗殺を試みるが失敗、ベルリンでは国内予備 軍副司令官のオルブリヒト大将が司令官のフロム上 級大将の名でワルキューレ作戦を発動するも、ヒトラーが生存していることが判明したため、警備大隊長のレーマー少佐の反逆によって鎮圧されてしまう。
 失敗 の要因は様々なものがあるが、当日の会議会場が密室ではない開放的な部屋に変更されたため爆破威力が半減したこと、オルブリヒト大将が慎重を期しすぎてワ ルキューレ作戦発動が遅れたこと、制圧部隊の指揮系統に欠陥があったことなどがあげられる。ちなみに、狼の巣爆破では総統副官ブラント大佐など4名が死亡 したもののヒトラーは軽傷で済んだ。ちなみにレジスタンス組織「黒いオーケストラ」は、ベック元上級大将、ライプチヒ市長のカール・ゲルデラーらが中心を な し、多くの上級将校が名を連ねていた。この失敗により約200名余りが自決もしくは処刑されている。

 このワルキューレ作戦を描いた映画はいくつかあり、「ヒ トラー暗殺(1955 独)」「総 統爆破計画(暗殺計画7・20)(1956 独)」「オペレーション・ワルキューレ(2004 独)」が著名である。前者の二作は戦後間もない時期の制作でありモノクロとなっている。時代が新しくなればそれだけ史実の検証がなされて、良作になるのが 当たり前だが、実のところ初期作の「ヒトラー暗殺」の出来が意外に良く、本作と比較して大枠のストーリーやイベントに差異はない。細かい部分の設定や言動 に若干の新事実が加わっているようだが、期待するほど優れたものではなかった。また、本作は「オペレーション・ワルキューレ」とかなり似ている。細部の設 定や 言動もほぼ同一と言ってよく、「オペレーション・ワルキューレ」が説明不足で若干端折りすぎの感があったのを、補足して焼きなおしたような印象である。そ う 言った意味でリメイクの4作目と言っても良く、確かに徐々に映像や音響等で良くなってはいるものの、新作と言うには若干期待はずれだったか。

 本作で進化した点としては、まず各種イベントの追加がなされていることがあげられる。ワルキューレ作戦に先立つ暗殺計画「閃光作戦」が描かれていたり (「総 統爆破計画(暗殺計画7・20)」では描かれている)、狼の巣爆弾設置が 一度中止になった場面まで描かれるなど、ストーリーとしての幅は広がっている。また、従前の作品では余りに登場人物が多いために、人物の所属や氏名すら説 明され ないことが多かったのだが、多少は人物の性格付けや名称等がわかりやすくなっている。とは言え、難解であることには違いなく、事前の知識は絶対に必要だ が。
 次に音響だが、銃撃音や爆発音はかなりリアルで衝撃的だ。従前の作品が大人しすぎたため、戦争系映画として厚みが出た。
 映像では建物や兵器類も違和感なく、かなり秀逸な部類に入る。近年のCG多用ではなく、実際の古い建物やセットのリアル感は満足できる。登場する航空機 では、実機のJu-52輸送機が飛行しているし、ドイツ軍のキューベルワーゲンなどソフトスキン類も悪くない。このほか、アフリカ戦線で攻撃する英軍戦闘 機P-40ウォーホークや、ベルリン飛行場の 格納庫にはBf-109、ほかにステアマン・ケイデットも実機を使用しているそうだ。さらに、軍装等の衣装類がかなり凝っているのに感動した。ドイツ軍の 軍服のウール生地の雰囲気も良く出て いるし、何 といっても一人一人の衣装が微妙に違うのだ。金満ゲーリングはいかにも高級そうだし、シュタウフェンベルグ大佐もお洒落な薄色の上着を着用するなど、立場 や階 級の違いもきちんと出ているのが凄い。
 また、狼の巣は蚊が多いことで知られており、森に防虫布で顔を覆った守備兵がいたり、シュタウフェンベルグの義眼も新登場。こうした細かい部分ではかな り進歩していることは間違いない。

 残念だった点としては、やはりトム・クルーズの主役抜擢。悪い役者ではないと思うのだが、本作では目立 ちすぎの演技や軽々しい雰囲気が強く前面に出てしまい、作品全体が凡庸な出来になってしまっている。ワルキューレ作戦は残念な結果に終わった実在の史実だ けに、重い歴史のリアリズムが重要だと思うのだが、せっかく細かい史実の検証や描写がなされたのにもったいない感じがした。作品の重厚さが欠けてしまった という点でマイナス。さらに、冒頭以外は全編英語というのも・・・・。やはりドイツ語の堅苦しい雰囲気はどうしたって欲しかったところ。字幕NGのアメリ カ映画というのはわかるが、作品のリアリティを思い切り阻害した。
 また、ワルキューレ作戦での各種予備軍や兵学校の動きがほとんど描かれなかったのが残念。ワルキューレ作戦の失敗はレーマー少佐の寝返りだけではなく、 各部隊の配置、指揮計画にも問題があったのであって、もう少しなんとか描けなかったのかな。

 徐々に進化しつつあるワルキューレ作戦関連映画ということで、決して悪い作品ではないが、もう少し改良の余地ありということでこの評価。リメイク5作目 があればもっと良くなるはず(笑)。ちなみに、4作品のうち最もドキュメンタリー風なのが「ヒトラー暗殺」で作戦そのものを描くのに対し、他の3作品は物 語り調が強い。「オペレーション・ワルキューレ」と本作はシュタウフェンベルグ大佐の伝記的視点となっている。

興奮度★★★★
沈痛度★★★
爽快度★
感涙度★★

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(以下 あらすじ ネタバレ注意 反転でご覧下さい)

  アフリカ戦線の第10機甲師団 の主任参謀将校のシュタウフェンベルグ大佐は、ヒトラーの独裁政権と人種差別にひどく失望し、ドイツを救わなければという念に駆られていた。アフリカ戦の 敗戦を予期し、上官に撤退を進言するが、シュタウフェンベルグは連合軍の空襲で左目と右手首、左手の指を失ってしまう。
 ベルリンに戻ったシュタウフェンベルグ大佐 は国内予備軍司令部に勤務するようになり、妻ニーナと4人の子どもと再会する。
 反ヒトラー一派のトレスコウ少将らは政権転 覆を試み、ヒトラーの乗る航空機に爆弾を持ち込むが爆発せずに失敗する。何とか爆弾を回収するも、あやうく総統副官のブラント大佐に気づかれるところだっ た。
 トレスコウ少将らはヒトラー暗殺計画にシュ タウフェンベルグ大佐を引き込むことにする。カール・ゲルデラーら民間人は軍事的行動に否定的だったが、元上級大将のベックらは暗殺しかないと判断してい た。シュタウフェンベルグ大佐はワーグナーのレコードを聴いて、緊急時鎮圧作戦「ワルキューレ作戦」を利用することを思いつく。ワルキューレ作戦発動の権 限は予備軍司令官フロム上級大将のため副司令官のオルブリヒト大将と大佐は説得するが、日和見のフロムは参加に同意しない。
 その後、シュタウフェンベルグ大佐はフロム 上級大将のもとで予備軍参謀長に就任し、トレスコウ少将は東部戦線の前線に赴く。トレスコウ少将とシュタウフェンベルグ大佐はトレスコウの女性秘書マルガ レーテにワルキューレ作戦の改訂版をタイプさせ、シュタウフェンベルグ大佐はヒトラーの山荘に赴いてヒトラーにサインを貰うことに成功する。また、総統大 本営の通信を握る通信総監フェルギーベル大将を仲間に引き入れることに成功する。
 いよいよ、シュタウフェンベルグ大佐が狼の 巣に行くことが決まり、オルブリヒト大将の副官のクヴィルンハイム大佐が爆薬を用意して出発する。しかしその日の会議にはヒムラーがおらず、実行の決断を 仰いだ結果、カール・ゲルデラーが中止を決める。ベルリンでワルキューレ作戦発動を睨んで非常呼集を勝手に行ったオルブリヒト大将はフロム上級大将にひど く叱責を受ける。
 ベック上級大将らは軍人主導で一気に決行し なければならないと判断し、シュタウフェンベルグ大佐に実行を一任する。そして、いよいよ7月20日になり大佐はヘフテン中尉とともに再び狼の巣に向う。 狼の巣でシュタウフェンベルグ大佐は血がついたシャツを着替えるという名目で別室に入り、爆薬に信管をつけペンチで起動させる。爆薬は約10分で爆発する こととなっていた。だが、途中で邪魔が入り、ヘフテン中尉の分は起動できなかった。さらに、会議が密閉空間の防空壕ではなく、暑いために通常の部屋で行わ れることに。シュタウフェンベルグ大佐は耳が遠いという理由でヒトラーの近くに接近し、机の下に鞄を置く。フェルギーベル大将から電話が入るふりをしてそ のまま脱出する。ほどなく爆発が起こり、シュタウフェンベルグ大佐は飛行場に向けて急ぐ。途中で封鎖の検問に会うが、警備司令官に電話を入れて突破する。 一方、ヒトラー暗殺成功を知らせるはずのフェルギーベル大将だったが、意味不明の言葉を発したのみでベルリンにはうまく伝わらなかった。オルブリヒト大将 は成功の確信が持てずにワルキューレ作戦発動に慎重になっており、ベルリンに戻ったシュタウフェンベルグ大佐は3時間のロスを怒る。すぐさまフロム上級大 将を拘束し、クヴィルンハイム大佐はワルキューレ作戦を発動するが、次第にヒトラーが生きているとの情報が入り始める。放送局の占拠に失敗し、ラジオ放送 でもヒトラー生存の報が流れ、通信室も両陣営からの情報が入って混乱し始めるが、通信室の士官らはヒトラー側の通信のみを流すことを選択する。ベルリン制 圧の大隊長レーマー少佐はSS司令部やゲシュタポ本部の制圧を行い、ゲッベルス逮捕に向うが、ヒトラー側からはシュタウフェンベルグ大佐逮捕の命令が出て おり困惑する。レーマー少佐はゲッベルス邸でヒトラーから直接電話で反乱軍鎮圧を命じられ寝返ることに。
 予備軍司令部では各部隊への連絡調整に追わ れるが、なかなか思うようにベルリン制圧ができない。さらにレーマー少佐が寝返り、司令部内でもヒトラー派の将校らが武器を調達して反旗を翻す。オルブリ ヒト大将らは計画の失敗を悟り、シュタウフェンベルグ大佐は司令部内の銃撃戦で腕を負傷し、解放されたフロム上級大将によって逮捕される。
 ベック上級大将はフロムに頼んで拳銃自殺を 図る。ヘプナー大将は法廷に出ることを望み、フロム上級大将は即決軍事裁判でオルブリヒト大将、クヴィルンハイム大佐、名を口にするにも値しない(シュタ ウフェンベルグ)大佐、ヘフテン中尉の4名に銃殺刑を命じる。シュタウフェンベルグ大佐は妻に連絡を試みるも通じず、即日オルブリヒト大将、クヴィルンハ イム大佐の順に処刑されていく。シュタウフェンベルグ大佐の番にはヘフテン中尉が駆け寄って先に銃殺され、その後シュタウフェンベルグ大佐も銃殺される。

(2009/3/20)