「戦う翼」 評価★★★★ B−17爆撃機がとてもリ
アル
THE WAR LOVER
1962 イギリス 監督:フィリップ・リーコック
出演:スティーブ・マックィーン、ロバート・ワグナー、シャーリー・アン・フィールドほか
106分 モノクロ
1962年イギリス製作の米空軍のドイツ爆撃を描いた映画。主人公の第8航空軍パイロット(大尉)役にスティーブ・マックィーン、中尉役にロバート・ワ
グナー。1943年、B−17フライングフォートレスでドイツ爆撃に向かうクルーの話で、ストーリーは大きく2つの場面に分かれる。ひとつは、戦闘シーン
で本物?のB−17の離着陸や爆撃シーンがとてもリアル。特に、離陸シーンは機内からの映像を用いておりとても臨場感があり、自分が浮いていく感じもす
る。また、爆撃シーンも実写?を利用しているのかとても迫力がある。低空のアクロバット飛行シーンはすごい。敵戦闘機のシーンも実写っぽいのだが、遠景で
何を撮影したものか判断付かない。
もうひとつの場面は大尉と中尉が一人のイギリス人女性に惹かれていく、いわゆるラブシーンだが、大尉は豪快で戦闘にのめり込んでいくタイプ、中尉は戦争
を嫌い一時の愛にすがっていくタイプという相反する二人の性格が、女性とのつきあい方や戦い方に影響していくというヒューマニズム的な要素である。
はっきり言って、戦争映画での女性とのからみ(ラブシーン)は映画の迫力や深みを削いでしまう難点と思っているのだが、この映画の場合は迫力ある戦闘
シーンとラブシーンが互いに補完する役割を得ており全体に見事にマッチしている。
ラストのシーンはどう評価すべきかわからないが、少なくとも戦争映画の域を脱したヒューマンドラマとしてのエンドと見受けられる。
ちなみに、米軍の爆撃クルーは25回の出撃を終えると本国に帰ることができる。しかし、ドイツ上空まで護衛できる戦闘機がなく、爆撃機は撃墜されること
も多く、そのほとんどはその前に戦死をしてしまうのだ。1943年8,10月に行われたドイツシュバインフルト爆撃では666機のうち120機が失われて
いるのだ。こののちにP−51戦闘機が就役してからは全行程護衛できるようになるのだが。最後に、ついでだが、イギリス女はなんでこんなに尻が軽いのだろ
うかと言う素朴な疑問を感じるのだった。名前も知らないうちに部屋に連れ込むなよな。。。
B-17の米第8航空軍を扱った映画では「頭上
の敵機」「メンフィス・ベル」があ
るけれど、焼き直しというものではなく、いずれも内容が異なっており出来がいいですね。どれもお勧めできます。
(2004/03/29)
興奮度★★★
沈痛度★★★
爽快度★★
感涙度★★
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